第1期ジェフ・ベック・グループ

何回も書いているが若い頃なんかジェフ・ベックは縁遠い存在だった。ミッシェル・ポルナレフビートルズから始まりプログレ、プリティッシュ・バードロックと興味が移って行き、ジェフ・ベック・グループの存在は知っていても何のジャンルかもよくわからなかったせいかも。
さらにボーカルがロッド・スチュワートである。リアルタイムではもうソロとして大スターだったが当時個人的にはあまり好きになれなかった。スター気取りの薄っぺらいハスキー声の歌手(失礼)と思っていた。(セイリングは名曲だけど)
ベースがギタリストなのに直前のベース脱退によりベースを担当することになったロン・ウッドであるが、これもローリング・ストーンズに参加というニュースを聞いてなんかがっかりした覚えがある。こいつ日和ったなと。
ところがである。ジミー・ペイジがこのバンドにインスパイヤされてレッド・ツェッペリンを構想した、という話(否定説もあり)を寡聞ながら最近知ったのであった。それであるなら聴いてみるしかない。そうしたら都合よく"Truth"(1968)"Beck-Ola"(1969)の 2 in 1 CDがあった(no noise シリーズの一環らしい)
で聴いてみるとまずロッドの声がハスキーではあるものの野太いことにびっくり、これは私が知っているロッド・スチュワートではない。これならば全然好きになっていたはず。
そして、ブルース基盤のハードロックはレッド・ツェッペリンの前にこのバンドで既に始まっていたという事にショック。この歳になるまで知らなかったのは非常に恥ずかしい。
ロンのベースもいかにもギタリストらしいドライブ感あふれたものだ。ここで思うのがレッド・ツェッペリンのドライブ感の無い重たく沈み込むグルーヴである。例えばジミ・ヘンドリックスバンド・オブ・ジプシーズで、リズム隊が黒人になったがゆえにあまりにしっくり来すぎてエクスペリエンス時代の面白味が減ってしまった、という事があって、バンドのリズム感覚が一体なのもいいが、微妙にずれることによってツェッペリンのような独特のグルーヴが生まれる場合もある。難しいものだ。
余談だが、単独で発売されている"Truth"にはボーナストラックに「恋は水色」が収録されているが、当然今回購入したCDには無い。これだけは失敗したなあ。