アーシュラ・K・ル・グウィン「オドレンの娘」(2014)

ゲド戦記最新刊に収録されている未訳だった短編2本のうちのひとつである。
全体の流れはR・シュトラウスがオペラにもしたギリシャ悲劇「エレクトラ」の復習譚を思わせるが、ミソになるのが復讐をとげたヒロインが当然手にしてもいいだろう物質的現象的な地位や富をもとめずに、それまでの雌伏期間に得ていた日常の幸福に戻っていく点である。
紹介文では静かなるフェミニズム的な書かれ方をしているが、先日の「SFとミセス・ブラウン」を読んだ後なので妙に腑に落ちた。ちゃんと順番どうりに読むように導かれているのだなあ。