最近、アーシュラ・K・ル・グウィンのフェミニズム系、ジェンダー系の物語をずっと読んでいて思い出したのが以前ちょっと触れたジョン・ノーマンの「反地球シリーズ」で、男尊女卑SFってどんなんだろうという文学的興味から読んでみたくなった。
https://hakuasin.hatenablog.com/entry/2019/12/05/062523
上記で書いた通り邦訳は6巻で止まっているが海外ウィキペディアによると御年94歳で健在中で2024年に38巻が発売されている!どんだけ長生きで人気シリーズなんだか。
で、このシリーズは1960年代に復権したいわゆるバローズタイプ小説の成功例にあたるようで、この第1巻は、惑星ゴル(反地球)における複雑な階級社会の描写や目まぐるしく替わる敵味方の関係等なかなかに面白く読めた。作者が言うところの現代社会への批判というものわからなくはない部分もある。
しかし言うほど男尊女卑ではなく(性的目的の女奴隷とか歴史的にも珍しくなかったし)気の強い女性が主人公への愛で屈従するという話もそれこそ大昔からあるし、なんとなればこの2年後のアン・マキャフリイの「竜の戦士」も女性作家の作品にもかかわらず始めはこんな感じだった。
で先に2巻の解説を読んでしまったのだが、SMポルノだ、男尊女卑だ、と問題になったのは邦訳が無い7巻以降の事らしい。ちょっと肩透かし。そこらへんもあって邦訳が止まったのか、いや途中で出版社が変わったので単に版権の関係か。
しかしこれから物語は佳境に入るようで、特に3,4巻は作品としても圧巻との情報もある。
実は、このシリーズの根底には惑星ゴルの影の支配者である神官王(達)の謎があり、どうも邦訳がある分ではその謎は解かれきっていないらしい。なので今回4巻まで買ったのだが、5,6は買わないでおくことにした。
(7月6日に訂正記事を書きました)
https://hakuasin.hatenablog.com/entry/2025/07/06/144904
ちなみに上記で「竜の戦士」の事を書いたがタルンと呼ばれる巨鳥とそれを乗りこなすタルン戦士の関係(精神的な結びつき)は「竜の戦士」の竜と竜騎士の関係を思わせるが、もしかしてヒントを得た・・・?