まず最初に訂正する。第1作について書いたとき
このシリーズの根底には惑星ゴルの影の支配者である神官王(達)の謎があり、どうも邦訳がある分ではその謎は解かれきっていないらしい。
と書いたが間違いであった。この巻で神官王の正体は明かされていた。ではなぜ上記のように書いたかというと、神官王とこの後の巻で登場する「他者」という謎の存在との行く末が翻訳されたものの中では解決していない、というネット上の記事を読んで早とちりしてしまったのだった。お恥ずかしい。
さて、3巻に至ってページ数が格段に増えて1.5倍ぐらい厚さがある。当時の文字の小さい文庫でこの厚さはかなりの長編、しかも巻末に用語集がある。寡聞ながらこういうのはデューン砂の惑星でしか見たことがない。こういう異世界の環境を緻密に設定して描くというのはもしかしたらデューンの影響があったかもしれない。
で、読み始めは相も変らぬ奴隷描写にうんざりしていたが、神官王の驚天動地の正体が明かされた後はなんとヒロイック・ファンタジーが一気にSFになってしまった。これは神官王の正体よりも個人的にはびっくりであった。
実はヒロイック・ファンタジーは得意ではないのでがんばって読んでいたのだが、ここにきて一気に読みが進んでしまった。なんとなれば1巻2巻のヒロイック・ファンタジーは大いなる前振りであった!
ネタバレしたくないので詳しくは書けないのだが、ヒロイック・ファンダジーが苦手な人も、騙されたと思って1巻2巻を我慢して読んでこの3巻を読んでほしいくらいである。
次の巻はさらにページ数が増える。が、どうもヒロイック・ファンタジーに逆戻りしそうな気もする。が「他者」という謎の存在も気になる。どうしたものか。
ちなみに入手したのは第3刷で、当時日本でもよく売れていたのだということがよくわかる。さらに帯に他のシリーズ等の紹介があるのだが、反地球シリーズは全7巻となっている。前回このシリーズは途中で出版社が替わったという話を書いたが実は7巻の後から出版社が替わったのだ。この時点で全7巻としているということは、創元推理文庫は当時7巻までの版権は取得していたものと思われる。ところが実際は6巻で打ち止め。ということは7巻の内容にそうとうな問題があったのかも知れない。ちょっと読んでみたかったかも。