ベースについてなんか思い出したことがある。
自分が中学生だったか高校生だったかしかとは覚えていないのだが、その頃歌手後ろには楽団が控えていて生演奏をバックに歌っていたものだが、その頃もうベースを弾き始めていたのだろうか、ふとそういう楽団のベーシストになれたらいいな、みたいなことをつぶやいたら父親に、そんな情けないことを言うな、と言われてびっくりしたことがある。たぶん父親の世代にとっては当時の楽団員は最下層の職業だと思われていたのだろう。そんな時代を私は通ってきたのであった。
さらにもう一つ、高校卒業後独り暮らしでバイトをしながらバンド活動をやった頃、近所のライブハウスに出演するためにベースアンプがアパートの玄関に鎮座ましましていたのだが、ある日、ちょっと変わった風体の新聞の勧誘の人が来た。ぴんからトリオの宮史郎をさらにダンディにした感じの人であった。
で、玄関のベースアンプを目にしたその人に、ベース弾いてるの?と聞かれ、そうだと答えるとこんな話をしてくれた。
自分は元々ジャズのベーシストであった。ところがある温泉旅館の専属ジャズバンドのベーシストになり収入が安定したために、このままでいいか、と落ち着いてしまった。
ところがその後、ジャズブームも去り、温泉客が歌う歌謡曲のバック演奏をするようになったが、それもカラオケと置き換わってしまい失業してしまった。で、今は新聞勧誘をやっている、という。で、その後に言われたのが「自分のやりたい音楽を追求せず途中で安泰を求めた結果がこのていたらくだ。なので、君は自分と同じ轍を踏んでほしくない」(正確には覚えていないがこんなようなこと)ということだった。
この言葉を印象的に覚えていたので、音楽で安泰を求めはしなかったがプロとしては成功しなかった。しかし後悔はしていない。