「魔物語 愛しのベティ」(原作:小池一夫)

現在コンビニ本が刊行中である。始まりが、魔女とチンピラヤクザの恋物語で、リアルタイムで読んでいた時は、面白い設定だなと思っていたのだが、だんだん子育て物語となり、若かりし頃は「なんじゃこりゃ」と思ったものだった。今は、自分も娘を持ち、またマンガの設定と年齢も近いせいもあり、けっこう身にしみたりする。

「畳捕り傘次郎」(原作:小池一夫)

もともとは「首斬り朝」という、江戸時代の首切り役人(この言い方は正しくないのだが説明すると長くなるのでご容赦)のお話。大変重厚で、私的には「子連れ狼」より好きだったりするが、さすがに話が重厚すぎて、たぶん、いっぷくの清涼剤的に「傘次郎」「新子」の夫婦十手のキャラを途中から加えたと思われる。それが、かなりいい感じだったので、とうとう、朝右衛門を追いやって、主役の座に踊り出た作品が「畳捕り傘次郎」であった。ところが、むずかしいもので、主役に踊り出てからは、けっこう話がもたなかったりする。脇のままでいたほうがよかったのだ。難しいものだ。ただし、「首斬り朝」〜「畳捕り傘次郎」は、けして読んで損はない。ただし、当時の成年男性漫画誌向きのマンガなので、女性には好まない人もいるだろう。

「ケイの凄春」(原作:小池一夫)

この作品は、私の恋愛バイブル的な存在である。はっきり言って当時小池一夫は、前作の連載終了直後に、次の作品を続けなければならないほど売れっ子であった。で、想像だが、かなりの作品の導入部が、手探りではじめられている節がある。よって、最初の設定が途中から矛盾してきたりするということがままある。しかし、その欠点を補ってあまりある純愛感動巨編である。この作品をこれだけあからさまに褒めると、この作品を読んでる人は、「白亜森は何歳だ?ずいぶんおめでたいやつだ」と思われるかもしれない。でも正直に言おう、私はこの作品を読むたびに涙して、20代30代の独身時代を乗り切ったのである。そして今の幸せな家族生活があるのであった。