ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」

シャイー指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団(1985)
アンドレア・シェニエ:ホセ・カレーラス
マッダレーナ:エヴァ・マルトン
ジェラール:ピエロ・カプッチッリ

オペラのLDを焼くぞ!シリーズ!(って、随分前に書いた気がするが)
この映像は、NHKで放送したのを見た記憶があり、それで、LDで廉価(それでも5,000円ぐらいした)が出た時買ったもの。
物語はフランス革命を舞台にしているが、今回気づいたのだが「アイーダ」とある意味似た構成をもっている。(まあ、物語のパターンとしてはありがちだが)

「アンドレア・シェニエ」
アンドレア・シェニエは、愛する旧貴族マッダレーナをかくまう
→革命政府に対する反逆
→死刑
→マッダレーナと共に死刑台へ(死を超えた愛の勝利)
アイーダ
エジプトの将軍ラダメスは、愛する敵国王女アイーダに軍の秘密を漏らす
→エジプトに対する反逆
→死刑
アイーダと共に生き埋めの刑へ(死を超えた愛の勝利)
ここに、アンドレア・シェニエの友人でマッダレーナを愛する革命家ジェラール
ラダメスを愛するエジプトの王女アムネリスが(男女の違いはあれ)絡むところも、この二人が悪人で無い事も共通している。
しかし「アイーダ」と違ってジェラールが主役に見えるのは「フランス革命」という生々しい時代背景のせいだな。
革命前の貴族の傲慢さ、愚かさ、虚飾、しかし革命政府も恐怖政治で、庶民の安らぎは訪れない。「ヴェリズモ」として、ここらへんをきっちり描いているところが、音楽的にもさることながら、このオペラが現代まで残っている理由であろう。
その、あたかも主役のようなジェラールを演じるカプッチッリと言う人は、私がオペラを見だした頃、ゴッピの系統を継ぐ、キャラクター・バリトン(っていう言葉があるかは知らないが)の第一人者だった。(ちょうど次世代としてレオ・ヌッチが台頭してきていた)
 
この舞台、演出的にはオーソドックスな美術と舞台転換等の新規な工夫とのバランスが良く、このオペラの映像の代表盤として推すにやぶさかではない。ただ、マッダレーナのマルトンはもっと華奢であってほしかったが(笑)

カレーラスではなく、カップッチッリの映像