Karma(1969)

Pharoah Sanders
前述の、ジョン・コルトレーンが、フリージャズに移行した時に、パートナーに指名したのが、若き日のファラオ・サンダースである。同じ楽器を吹く人間と組むと言う事は、よっぽどのことである。コルトレーンの死は、彼にとってよほどのショックであったことは想像に難くない。この「カーマ」は、彼の復活作といわれ、プログレファンも聴く人がいるという傑作だが、なんとなれば、コルトレーンの「至上の愛」のサンダース版とも言えなくない。(コルトレーンより東洋思想色が強いが)そして、同傾向のアルバムが約10年続き、ファンの一部からはワンパターンと言われたりする。つまり、それだけコルトレーンの影は大きかったのだが、彼はとにかく納得のいくまでやり尽くしたかったのだろう。そこを突き抜けてからは(ややフュージョンっぽいのが気に入らぬが)すっかり無駄な力が抜けきった、スピリチュアル系、ヒーリング系の澄み切ったJAZZに到達していったのだ。その全ての歩みが、私の心を熱くする。