チャイコフスキー「くるみ割り人形」

クナッパーツブッシュ指揮ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ(1950)
引越の最中だというのに、ダイアナ様に情報をいただいて、クナッパーツブッシュ大全集というのを買ってしまった。これでしばらくは贅沢はできない。しかし一生の宝になるだろう。
さて、大全集とは言いながら、例えばブルックナーの交響曲第8番は超名盤のミュンヘンフィル盤ははずしてある。この全集を買うような人はコアなファンしかいないから、ミュンヘンフィル盤は既に必ず持っているとふんでの配慮か?それならそれでうれしい。で、この「くるみ割り人形」も以前に日記でも書いたアナログ時代から出回っていた1960年のウィーンフィル盤でなく1950年のベルリンフィル盤である。一般には比較的聴きやすいポピュラーな曲だが、彼の手にかかるとまるで別の曲のようだ。激しい切り込み、重たいリズム、即興による変幻自在のテンポ、巨大なスケール、ウィーンフィル盤も大概びっくりしたが、まだスタジオ録音のため若干抑えていたのがわかる。かといって効果をねらったけれんではないのがこの人のすごいところ。
ちなみに、同日(1959年2月2日)演奏の「ウィンザーの陽気な女房たち−序曲」「こうもり−序曲」「ピチカート・ポルカ」「バーデン娘」がCDに収録されているが、同様に、通常は軽いという範疇の曲が、どれもすさまじい迫力を持ってせまってきて、聴き終るとぐったりしてしまうほどだ。ただし、心地良いぐったりだが。
これから大事に少しずつ聴いていこう。なにせ50枚もあるのだから。


追加情報、1950年2月2日は、1950年1月30日(こちら)と同じくクナッパーツブッシュの戦後ベルリン・フィル復帰演奏会で、聴衆、オケが熱狂したとのこと。むべなるかな。