ジャパッシュ(1971)

望月三起也
子供の頃愛読した漫画で、手元に無い物は、なかなか記憶の表層に上がってこないもので、どんぐり1号氏の日記のおかげで思い出した。
ある意味「ワイルド7」より好きな作品だったかもしれない。子供心にはかなりのインパクトがあった作品。
簡単に言うと、まるでヒトラーのように日本の政権を握り独裁者となる、悪の天才美少年日向光と、その幼馴染で間接的に日向により顔に醜い傷を負った石狩五郎の対決の物語。
日向光が自分の組織を立ち上げ、政権を握るまでは「そんなことありえるだろうか」と思いながらも「ありえるかも」とぞっとする事しきり、ある意味「ともだち」のさきがけである。いや、企業、政治、警察、自衛隊のパワーゲームの狭間に入り込む手段は、「ともだち」より説得力がある。
今回、ぶんか社の文庫版で購入したのだが、著者のあとがきによると、当初は石狩五郎が主人公だったはずが、いつのまにか日向光が主人公になり、悪の魅力で人気が出てしまい、当初の構想と変わってしまったため、やむなく打ち切った、というのは意外だった。