カーター・ディクスン「赤い鎧戸のかげで」

カーター・ディクスン「赤い鎧戸のかげで」
「魔女が笑う夜」とこの作品の間には「ニューゲートの花嫁」と「ビロードの悪魔」という評判の良い作品があるのだが、今のところちょっとお高いので、安くなるまで待つつもり。
さて、ドタバタ騒ぎに巻き込まれる天才、愛すべきヘンリー・メリヴェール卿は、イギリスを飛び出して、休暇で訪れた北アフリカでも抱腹絶倒の騒ぎに巻き込まれるが、それには深い裏があった。
アクションが多く、また主人公は若き2組の男女で、この作品も面白さの大半は、この4人とそれをめぐる人間模様と言える。やはり、徐々にカー(カーター・ディクスン)の作風も変化してきているのだ。
しかし、彩りとしてのアクションならまだしも、これは多すぎる(後から、そこにも裏の意味があったとわかるのだけれど)
真相はあいかわらず驚天動地だが、あんまりすっきりしないなあ。
さて、手元にはジョン・ディクスン・カーの長編がもう一つある。ナポレオン時代を舞台とした「大・歴史・冒険・推理・ロマン」である「喉切り隊長」であるが、この手の作品は今ちょっと読む気になれないので、ジョン・ディクスン・カーカーター・ディクスン)の長編を読むシリーズは、とりあえずこれで一段落。次からは「カー短編全集」全6巻を読む事になる。けっこういっぱいカー作品の感想を書いてきているように見えるが、実はこれでもカー作品の全体の3分の1ぐらいなのだ。どんだけ多作なのだ。