モンゴメリ「エミリーはのぼる」

モンゴメリ「エミリーはのぼる」
主人公の成長につれ、今までの困難に加え恋愛問題も当然起こってくるわけだが、やはり全てにおいて「アン・シリーズ」等よりも生々しい。勿論それがこのシリーズの特徴であり、モンゴメリが書きたかったことなのだろう。しかし(モンゴメリの思う壺であろうが)「エミリー・シリーズ」は「アン・シリーズ」等よりも読んでいて不快感の方が先に立つ。
しかし、ケルト的オカルティズムは楽しめるし、末尾付近になると主人公の環境も徐々によくなって来るので、なんとか第3作までいけそうである。
保護者である伯母に高校へ行かせる条件に、その間文章を書く事をやめろ、と告げられた時、主人公は「やめないのではない、やめられないのだ」と訴える。
自分の中に、芸術に対する衝動を持ったことの無い人には、これがまったく理解できないし、想像もできないのだろう。赤毛のアンではないが「想像力」というものが無い人種であればこそ、芸術に対する衝動もないのだ。このシリーズの主人公にはあまり感情移入できないが、この点だけは共感する。前にも書いたが同じ目に会っているからだ。