ロベルト・ヘーガー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1933)
元帥夫人:ロッテ・レーマン
オクタヴィアン:マリア・オルシェフスカ
ゾフィー:エリザベス・シューマン
オックス男爵:リヒャルト・マイヤー
先日も触れた「ばらの騎士」(全曲)の世界初録音であるが(こちらとこちら)当初はようつべでも聴けたし、まあ買わなくてもいいかな、と思っていた。
そうこうしているうちに、銭形平次の野村胡堂=「あらえびす」の「名曲決定盤」をユーズドで購入、さすがにSP時代だけあって、紹介されている演奏者がシャリアピンぐらいしかピンと来ない。指揮者のクレンペラーあたりがまだペーペー扱いである(笑)
そんな中、なんとこの世界初録音の「ばらの騎士」がとりあげられていたのである。(さすがに短縮版だという説明は漏れていたが)
で、何か縁を感じて(そうお高くもなかったし)購入した次第。
ちなみに、SPで何枚組みだったんだろう、と以前書いたが、13枚組だったらしい(汗)
後から知ったが、「ばらの騎士」初演の年から演じてきたメンバー(初演のメンバーではない)が揃い、ある意味シュトラウスの理想の形で演じられた「ばらの騎士」で、オックスのマイヤーはこの2年後に死去、他の歌手もナチスの影響でウィーンを去っているらしいから、奇跡的なタイミングで残された録音との事。
全体で元の約半分の長さ、ボーナス・トラック(といいながら43分もあるが(笑))1920〜31年に録音された、さまざまな音源が収録されている。本編では「歌手」のアリアはカットされているが、ボーナストラックで聴く事ができる。
さて、現代の技術の良さなのか、元々SPの音がいいのか、若干の針音を気にしなければ、下手な発掘音源よりよっぽどいい音である。
演奏の方は見事なほどにテンポ設定が的確である。それでいて戦前のウィーン・フィルがどれだけ素晴らしかったかを改めて知らしめてくれる芳醇なロマンティシズムに溢れている。序曲などウィーン・フィルお得意の縦の線が合わないところがあるが、まったく気にならないどころか、逆に良い効果になっていたりする。
現代の名盤に比してもなんら遜色が無い、というかある意味凌駕しているかもしれない。