ショスタコーヴィチ 交響曲第9番

ショスタコーヴィチ  交響曲第9番
ロストロポーヴィチ指揮  ワシントン・ナショナル交響楽団
バルシャイ指揮 ケルン放送交響楽団
第7番、第8番とともに「戦争三部作」と言われるが、あまりに軽妙洒脱なために、「第9番=ベートーヴェンのような壮大な曲」を期待され不評に終わったあげく、8番同様ジダーノフ批判をうけたという曲。
クラシック界では、第9を書いたら作曲家は死ぬ、というジンクスがあり、マーラーがそれを恐れて9番目の交響曲に番号を振らないで「大地の歌」とし、死ななかったので安心して第9を書いたら死んでしまった、という話があるが、もしかしたらショスタコーヴィチも、壮大な第9でなければジンクスを逃れられるか、と思ったのかもしれない。それが功を奏したのがどうか、彼は15番まで交響曲を書き続ける事ができた。
さて「軽妙洒脱」とはいうものの、曲作りはストイックかつ真摯な緻密なもので「軽妙洒脱」の奥にあるものを聴き取れれば充分に聴き応えはある。
ロストロポーヴィチは、5楽章形式のうち、偶数楽章をことさら「軽妙洒脱」では無いように演奏して奇数楽章との対比を狙っているが、例えば第2楽章のモデラートをアダージョのような遅さで演奏させているために、この曲全体を通しての躍動感が失われてしまった。これは「姑息な手法」と言える。