エンジェル エンジェル エンジェル(1996 文庫化:2004)

梨木香歩
解説にあるとおり、からくり小説なので、ストーリーは紹介できない。
この小説をなんと表現していいのか。SFやオカルトとも言えるし、宗教小説かもしれない。メルヘンやファンタジーかもしれない。しかし彼女はそこいらのファンタジーのように物事の上っ面をなでるようなことはしない。しっかりえぐる。しっかりえぐるが押し付けない。重たい問題をそっと目の前に置く。押し付けられたらはねつけることも出来るが、そっと置かれたからには、あとはこちらの感性の問題に委ねられる。そういう意味では、恐ろしい作家である。
ふと思ったのが、萩尾望都樹村みのり、水樹和佳(子)、清原なつの川原泉、等々が漫画化したら面白かろうということ。というか、彼女等ならこういう作品を書いてもおかしくない。そこで気付いたが、私と同い年であるから、当然マンガが当たり前の時代である。前にも書いたが私は少女マンガも読んでいたから、同じマンガも読んでいたかもしれない。さらに言えば、語弊があるかもしれないが、もしかしたら少女マンガの影響もあるか。
ちなみに、ラスト近くの神への一言は個人的には承服しかねる。しかし、ああいった神の捉え方からくる袋小路に対しては、あの一言が救いの第1歩になることは認める。しかし、あくまでも第1歩であり、そもそもの神の捉え方が、キリスト教的限界に基づく弊害だから、次に進むためには、そこに気付かなければならないと主張しておく。わかりづらい話ですいません。