シュヒターのワーグナー「ラインの黄金」抜粋

ワーグナーラインの黄金」抜粋
シュヒター指揮 北ドイツ放送交響楽団(1952)
フェルディナント・フランツ:ヴォータン
ルドルフ・ショック:フロー
ヴォルフガング・ヴィントガッセン:ローゲ
レス・フィッシャー:フリッカ/エルダ
ヨゼフ・メッテルニヒ:ドンナー
ヨゼフ・グラインドル:ファフナー
ゴットロープ・フリック:ファゾルト
(グスタフ・ナイトリンガー:アルベリヒ)
パウル・クーエン:ミーメ)
ルドルフ・ショックのワーグナーBOXである。シュヒターの「ローエングリン」があまりに良かったので、こちらを先に聴く。
ショックが出演している第2場、第4場の後半が収録されている。上記ナイトリンガー、クーエンがなぜかっこ書きなのかというと、この抜粋盤には出番がないからなのだが、その二人をはじめなんと豪華なメンバーだろうか。ショックのBOXだから仕方ないとはいえ、あとCD1枚足して全曲盤をBOXに収録することはできなかったんだろうか・・・これを全曲盤で買おうとすると、ユーズドでもBOXの倍以上の値がついている・・・
さてシュヒターの指揮であるが「ローエングリン」で、緻密かつ抒情的と書いたが、加えて音楽の流れに無理がなく非常に自然体なので、心にどんどん染み入ってくる。N響時代、団員の3分の1が入れ替わるぐらい指導が厳しかった、とのことだが、オケの仕上がりは完璧である。つまりは、演奏として「完全」な部類に入る。
なんで、もうちょっと待ってステレオで録音できなかったのか、っていうか、なぜ「ラインの黄金」だけで残りの3作の録音がなかったのか・・・・カイルベルトの代わりにバイロイトで振ればよかったのに・・・・

シュヒターのワーグナー「ローエングリン」

シュヒター指揮 北ドイツ放送交響楽団(1953)
ルドルフ・ショック:ローエングリン
マウト・クーニッツ:エルザ
マルガレーテ・クローゼ:オルトルート
ヨゼフ・メッテルニヒ:テルラムント
ゴットロープ・フリック:ハインリヒ

ルドルフ・ショックのワーグナーBOXである。コンヴィチュニーの「さまよえるオランダ人目当てで買ったBOXであるが、せっかく「ローエングリン」を3種聴いた後なので、こちらから聴くことにした。
シュヒターという人は知らなかったがNHK交響楽団の常任指揮者として同オケの技術向上に貢献したとのこと。実力に比して不当に録音が少ない、とのネット情報もある。
前奏曲を聴くと、緻密さと抒情性が同居する演奏で好感触。本編は速めのテンポだが、個人的にはこのオペラは内容的に速めのテンポのほうがいいと思っているので、こちらも好ましい。以前、クーベリック盤が「すべての箇所が魅力的な音作り」と書いたが、こちらも負けていない。こんないい指揮者を今まで知らなかったなんて。
ショックはヘルデン・テノールとしてはかなりすずやかな声でホフマンとは別の意味で神々しい。
他の歌手もフリック以外を寡聞にして知らなかったがみな素晴らしい。特にテルムラントのメッテルニヒ
これは、隠れた名盤ではないだろうか(いや、私が知らないだけで知る人ぞ知るなのかもしれないが)
惜しむらくは、かなり音がいいもののモノラルだということ。1年待てばステレオだったろうに。ステレオだったら標準盤として十分に推せるんだがなあ。

 

「ローエングリン」のおさらい

最近、過去に聴いた「ローエングリン」を再度聴き直してみて、いろいろと感ずることがあった。
聴いたのは、
ネルソン指揮 バイロイト祝祭管弦楽団盤(1992)
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20090927/p3
クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団(1971)
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20080718/p2
カイルベルト指揮 バイロイト祝祭管弦楽団盤(1953)
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101217/p1
欠点がもっとも少ない、かつローエングリン役がホフマンという点から、標準盤として推すのにやぶさかでないネルソン盤であるが、今回気づいたのがメゾのオルトルート役のエリザベス・コネルがソプラノかつエルザ役のカラン・アームストロングと声質がよく似ているということ。映像で見る分には問題が無いが、音だけで聴くと区別がつかない箇所がある。この盤の欠点といえば欠点。
クーベリック盤は、改めて聴くとすべての箇所が魅力的な音作りで、指揮者観点から見るなら文句なくこの盤を推すのだが、やはり泣き節の主役のキングがひどい。ヤノヴィッツは圧倒的だ。
カイルベルト盤は、意外にも遅い部分がけっこう遅めだった。しかし、クナッパーツブッシュのように、それがスケールの大きさにつながるわけではなく、単に遅い演奏になってしまうところがカイルベルトの欠点といえば欠点。これはやはりバイロイトの名歌手の競演を楽しむ録音なのだろう。

ルドルフ・ショック ワーグナー・オペラ録音集(10CD)

ルドルフ・ショック ワーグナー・オペラ録音集(10CD)
以前、コンヴィチュニーは「さまよえるオランダ人」が残っている、と書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2016/07/08
それに関連して調べてみたら、往年の名テナー、ルドルフ・ショックの10CDBOXにまるまる収録されていた。しかも超廉価なので注文中。
その他の収録作品は、
ローエングリン」シュヒター指揮 北ドイツ放送交響楽団(1953)
ラインの黄金」抜粋 シュヒター指揮 北ドイツ放送交響楽団(1952)
ニュルンベルクのマイスタージンガー」ケンペ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1956)
コンヴィチュニーの「さまよえるオランダ人」以外はモノラル(ケンペは1956年なのに~)