シュヒター指揮 北ドイツ放送交響楽団(1953)
ルドルフ・ショック:ローエングリン
マウト・クーニッツ:エルザ
マルガレーテ・クローゼ:オルトルート
ヨゼフ・メッテルニヒ:テルラムント
ゴットロープ・フリック:ハインリヒ
他
ルドルフ・ショックのワーグナーBOXである。コンヴィチュニーの「さまよえるオランダ人目当てで買ったBOXであるが、せっかく「ローエングリン」を3種聴いた後なので、こちらから聴くことにした。
シュヒターという人は知らなかったがNHK交響楽団の常任指揮者として同オケの技術向上に貢献したとのこと。実力に比して不当に録音が少ない、とのネット情報もある。
前奏曲を聴くと、緻密さと抒情性が同居する演奏で好感触。本編は速めのテンポだが、個人的にはこのオペラは内容的に速めのテンポのほうがいいと思っているので、こちらも好ましい。以前、クーベリック盤が「すべての箇所が魅力的な音作り」と書いたが、こちらも負けていない。こんないい指揮者を今まで知らなかったなんて。
ショックはヘルデン・テノールとしてはかなりすずやかな声でホフマンとは別の意味で神々しい。
他の歌手もフリック以外を寡聞にして知らなかったがみな素晴らしい。特にテルムラントのメッテルニヒ。
これは、隠れた名盤ではないだろうか(いや、私が知らないだけで知る人ぞ知るなのかもしれないが)
惜しむらくは、かなり音がいいもののモノラルだということ。1年待てばステレオだったろうに。ステレオだったら標準盤として十分に推せるんだがなあ。