朝比奈隆 札幌アーカイブの ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
朝比奈隆指揮 札幌交響楽団(1969)
朝比奈さんの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(以下マイスタージンガー)は「管弦楽名曲集」(1980)があるが、札幌交響楽団盤は1969年演奏である。
朝比奈さんの事をすべてわかっているわけではないので、私の知る限りの話だが、朝比奈さんの古い録音と言えば、ジァン・ジァンのブルックナー交響曲全集が1976年、学研によるべートーヴェンの交響曲全集が1973年「運命」と「未完成」のカップリングで1972年、日本フィルとのブルックナー交響曲第7番(1968)等があるので、今回の札幌交響楽団とのマイスタージンガーは最も古い録音群の一つと言える。
朝比奈さんは亡命ウクライナ人指揮者メッテルに師事し、若い頃は非常にロマンティックな指揮をしていたが、1970年代後半ぐらいから自分が楽譜に書き込んだ注意書きやらなにやらをすべて消して、楽譜そのままを演奏するように努め始めた。
つまりは、今回の演奏は、そのロマンティックな指揮をしている頃の演奏という事になる。
1980年の演奏は非常に遅く始まり、気が付かないほどのアッチェレランドが少しづつかかる程度で、悠揚迫らざる名演であるが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101108/p1
1969年は、音価いっぱいに弾かせるスタイルは後年と同じだが、1980年盤より若干速めのテンポで始まり、その後どんどんテンポが上がり、中間部はテンポの変化が激しい。これはこれで聴衆を興奮させるなかなかに感動的な演奏。こういう演奏が残っていてくれて良かった。