バッハ「マタイ受難曲」

メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1939)
こちらも久しぶり。「マタイ受難曲」を初めて買うのなら、リヒターや今ではいくらでもある古楽器復元の名演奏があるので、そちらをお勧めするのだが、それで「マタイ受難曲」を好きになった方には絶対にお勧めである。たしかに大時代的でロマンティックにすぎる演奏で、特にアリアは正直きついものがある。しかし、合唱の迫力、イエス役の高貴さと悲愴さ、福音書部分のドラマティックさ等、この演奏でしか味わえない感動もいっぱいある。
それで思い出したが(最近の演奏は知らないけれど)この曲の合唱は、男声、女声に少年合唱団が加わっている。古楽器復元演奏が行われ始めた頃、教会では女性は歌わなかったという解釈から、女声部分も少年合唱団にやらせる場合が多かったのだが、そうすると、あたかも天から光が差し込んでくるように入ってくる少年合唱の声と声質がかぶってしまい、まったくその効果が無くなってしまっていた。女声部分も少年合唱団にやらせるならば、せめて少年合唱のパートはファルセットではなく、メンゲルベルクのように地声に近いものにするべきではなかったか。