ヴェルディ 歌劇「椿姫」

クライバー指揮 バイエルン国立管弦楽団(1976〜1977)
コトルバシュ ドミンゴ ミルンズ
随分久々に聴く。以前にも書いたが、何でもかんでもドミンゴというのがいやだし、キャスティングもオケもイタリア系でないのが違和感満載である。(コトルバシュは個人的に好きなのだが、イタオペではないだろうという気がする)逆に、これがキャストもオペもすべてイタリア系どっぷりでクライバーが指揮をしたとすれば、それはそれで違和感満載であろう。
イタオペというのは、どんな悲劇であろうと観客は肩の力を抜いて見る(聴く)ことができる。良くも悪くもそれがイタオペの特徴である。しかしクライバーの場合、冒頭からもう「何かとてつも無い事が始まるぞ!」という緊張感を聴衆に強いる。(私が「随分久々に聴く」というのもそこらへんの事情だったかもしれない)
この演奏をある意味「超イタオペ」であると解釈するのなら、この配役は妥当な線なのかもしれない。あくまで、イタリア的な「椿姫」を聴いた上で聴くべき演奏で、そう考えるととんでもない名演であることは確か。
これが、実際の舞台や映像で見るとまた視覚が加わるので印象も違う事だろう。クライバーの「ラ・ボエーム」は日本公演をTVで見たが、(あ、こっちはスカラ座だ、なるほど)彼はとうとう「ラ・ボエーム」の正規のスタジオ盤は残さなかったが、その理由も案外上記のような事情があったのかもしれない。