ヴェルディ「オテロ」

フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1951)
ラモン・ヴィナイ:オテロ
カルラ・マルティニス:デズデモナ
パウル・シェフラー:イアーゴ
アントン・デルモータ:カッシオ
ヨーゼフ・グラインドル:ロドヴィーコ
「オテロ」はカラス25BOXには無いので、今回は聴く予定がなかったのだが、以前から気になっていたフルトヴェングラー盤を、良い機会だ、ということで廉価で購入。ザルツブルク音楽祭での「オテロ」初上演のライブである。
主役はトスカニーニ盤と同じくヴィナイ。個人的にはカッシオのデルモータがうれしい。デルモータのヴェルディって珍しいのではないか?私の知る限りでは、これのみだと思う。
テンポはゆっくりめだが推進力はあるので気にならない。そのわりに「オテロの登場」をあっさり片付けるのはいかにもフルトヴェングラーらしい。しかし「乾杯の歌」は歌手が歌いづらそうだ(笑)
管弦楽のすべてのフレーズに意味がこもっている。まるでワーグナーを振っているようだ。「愛の二重唱」はもともとワーグナーっぽいのだが、ここまでワーグナーに近くなるとは思わなかった。
このオペラは「ワーグナー旋風」に対するイタリア・オペラ側からの解答である、とはよく言われることだが、フルトヴェングラーの指揮は、その解答に対する、ドイツ・オペラ側からの再解答なのかもしれない。早い話が「交響的」に振っている、ということなのだが。
そして、元々ドイツ系を聴いてきているから、こういう音作りと聴くと、懐かしくてほっとしてしまうのも事実(笑)
ドイツ系に戻るのも遠くはないかな(笑)
さらに、万が一クナッパーツブッシュが「オテロ」を振っていたらどうなっていただろう、なんて想像してみたりする(爆)