モーリス・ルブラン「棺桶島(三十棺桶島)」
ルパンが申し訳程度に登場する「オルヌカン城の謎」、純粋な冒険もの「金三角」を跳ばしてこちらを読む。新潮文庫なのでタイトルは「棺桶島」、こちらもルパンの登場は随分最後の方だが、舞台がブルターニュ(つまりケルト)ということもあった。
しかし、なんとおどろおどろしくも残虐な物語であろう。タイトルからわかる通り横溝正史の影響元であることも納得。
前半は、はたしてこの展開に理屈の通った説明がつくんだろうか、と心配するほどだが、あまりにもあっけないような明瞭な結末に、逆に物足りなかったりする。しかし、その手腕はやはり驚異的。