ベルリオーズの宗教的合唱曲

ベルリオーズ
「来たりたまえ、創り主なる精霊よ」
「タントゥム・エルゴ」
「水浴びするサラ」
「東方の3博士の四重唱と合唱」
「神聖な歌」(9つの歌曲「アイルランド」より)
デュトワ指揮 モントリオール交響楽団&合唱団(1995~1997)
ジョン・マーク・エインズリー(T)(「神聖な歌」)

デュトワBOXは、大曲の埋め草的にさまざまな曲が収録されているが、上記の宗教曲、もしくは宗教的テーマを持った合唱曲が極上の美しさだったのでご紹介しておく。

ロイ・バビントンの話

ソフト・マシーンの3代目ベーシストであるロイ・バビントンは、4枚目のゲストでダブルベースを弾き、6枚目を最後に脱退したヒュー・ホッパーの跡を受けてベーシストとして正式加入した。
元々イアン・カー率いるニュークリアスのメンバーだったが、ロイの紹介なのか5枚目からドラムがニュークリアスのジョン・マーシャルに、6枚目から管楽器&キーボードのカール・ジェンキンス(後のアディエマス)が参加し、ソフト・マシーンは結局マイク・ラトリッジ以外はニュークリアスのメンバーになってしまい。ラトリッジもその後脱退するのでオリジナルメンバーが不在となってしまい、まさに「軒を貸して母屋を取られる」状態になってしまった。
それはさておき、ロイ・バビントンが正式メンバーになった7枚目の1曲目 Nettle Bedがリフが大変かっこよくて、ベースをコピーしたのだが、高い音から低い音までの速いパッセージが指移動の範囲が広くてけっこう大変だったので、さすがテクニシャンのベーシスト、と思っていた。

 

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ところが、その後彼が6弦ベースを弾いていた(もちろん通常のベースも弾くが)と知って「なーんだ、6弦なら指移動が少なくて済むじゃん。ずるいなあ」等と思っていた。

しかし、最近その6弦ベースがフェンダー・ベースVIだと知った。これはショートスケールで本来ギタリストが慣れないベースの役をやるとき用っぽい使われ方をするギターより大きいがベースよりは小さい楽器である(レット・イット・ビーでジョンが弾いていたやつ)つまりピックで弾くことを前提としているわけで、弦と弦の間隔が狭いために逆に指弾きベーシストには向かないはずである。
それを弾いているのだからやはりロイ・バビントンはすごいんじゃないの?と反省した話。

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こちらは上記に前、あの!アラン・ホールズワース参加のハザード・プロフィール、これも今でもリフを合わせたりするなあ。

 

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デニス・キーン&ヴォイシズ・オブ・アセンションのベルリオーズ「テ・デウム」

前回書いたように、今回入手したベルリオーズのBOXで「テ・デウム」を収録しているのがインバルのみであった。一つの曲はなるべく複数の演奏で聴いておきたいので、単独でもう1種類購入する事にしたのだが、そもそも録音自体が少ないので苦労したが、いろいろと調べている時に妙に気になったのがこのデニス・キーン&ヴォイシズ・オブ・アセンションである。
アメリカの指揮者&合唱団らしいのだが、他の録音を調べてみるとけっこうレアな宗教曲を録音している。指揮者は本来合唱指揮者のようで、そこらへんヘレヴェッヘと一緒である。
合唱指揮者という事からわかるように、管弦楽は伴奏に徹してあくまで合唱の美しさを前面に出した演奏である。残響の多い教会での録音ということもあろうが、かなり遅いテンポでインバル盤とは別の曲に聴こえるほどである。しかしその分天上の美しさ感は比類ない。勘に頼ってこの録音を購入して大成功であった。

 

インバルのベルリオーズ「テ・デウム」

ベルリオーズ「テ・デウム」
インバル指揮 ランクフルト放送交響楽団(1988)
フランクフルト声楽アンサンブル
マインツキリスト教会バッハ合唱団とクレンデ
ヘッセン放送児童青年合唱団
マティアス・アイゼンベルク(Org)
キース・ルイス(T)

インバルのベルリオーズBOXである。今回買ったBOXで「テ・デウム」を収録しているのはこのインバル盤のみである。
オルガンの強奏が印象的な導入部に続いて、大好きな対位法の嵐!やはり、宗教曲はこうでなくては(笑)
非常に美しい曲で「レクイエム」に比しても遜色ない名曲と思うのだが、録音が少ないのはなぜなんだろう。
ちなみに、通常は省略される「プレリュード」と「行進曲」を含む完全版である。

シェルヘンのベルリオーズ「レクイエム」

ベルリオーズ「レクイエム」
シェルヘン指揮 パリ・オペラ座管弦楽団(1958)
ジャン・ジロドー(テノール
フランス国立放送合唱団
ベルリオーズ名演集BOXであるが、マルケヴィチの時に引き合いに出した、個性派指揮者の先輩格であるシェルヘンが「レクイエム」を指揮していた。
シェルヘンは現在2種類のBOXセットが出ているが、そのどちらにもこの演奏は収録されていない。実に貴重である。
さて、演奏の方であるが、例えば、冒頭の1音づつ音が増えてゆく上昇音階の繰り返しが、すべて別のバランスで演奏されていたりして、個性派指揮者の面目躍如といったところ。
全体に遅めのテンポで、前半はねっとりとしていながら爆裂系、後半は異世界感さえ漂う天上の音楽。好みは分かれると思うが一聴の価値あり。