ジョン・ウェットンのベース

さて、以上の事をふまえてジョン・ウェットンである。彼は「指弾き」と「ピック弾き」の時期が交互に存在するという、これまた珍しい例なのである。(クリムゾン・ファンやウェットンファンがあまりこの事を語らないのはなぜだろう?私がベーシストだから気になるだけ?)
まず、キング・クリムゾンのスタジオ録音は「レッド」以外は「指弾き」。
「レッド」はライブ音源の4曲目はあきらかに「ピック弾き」だが、他の曲は音が加工されていてわかりづらい。全般的に「ピック弾き」と思われるが、曲により使い分けている可能性もある。しかし、録音時期がUSAライブ以降なので、「ピック弾き」ということにしておこう。
USAライブでは「ピック弾き」
放浪時代は確認しきれていないが、ロキシー・ミュージック参加後のブライアン・フェリー来日公演では「指弾き」(「激しい雨がふる」のメンバー紹介時のベースはすごかった!)ロキシー時代はライブアルバムに参加しているが、他のベーシストと併記のうえ、どの曲で弾いているかが明記されていないので、断定はひかえる。
ユーライア・ヒープ参加時は「指弾き」
UKでは1枚目が「指弾き」、2枚目以降「ピック弾き」エイジアではすべて「ピック弾き」である。
彼は本質的には「指弾き」のベーシストであるが、他の「指弾き」ベーシストとちょっと違うところは、普通人差し指、中指で弦をおさえてはじくのだが、彼は(時折)指をたたきつけるのである。そうすると、あの独特の「バフッバフッ」というアタック音が生まれるのだ。彼が、キングクリムゾン在籍時に途中で弾き方を替えたのは、よりアグレッシブな音質やリズムを求めてのことであろうが、かなり勇気のいったことだろう。(ファミリー時代はたしか指弾きだったような)もしかしたらある程度は「ピック弾き」の経験があったかもしれない。しかし、それまで弾いていた指で弾きやすいフレーズをピックで四苦八苦して弾いている部分も、やはりある。
UK以降の「ピック弾き」はまた全然意味が違う。よりPOPで疾走感あふれるリズムを刻むためだが、ここでは既に、本来の彼のベースの持ち味が「ピック弾き」の中でも昇華している感がある(モスクワライブ参照)
さてここで問題にしたいのは、はたして、クリムゾン時代、何日を境にして彼が「ピック弾き」をはじめたかという事だ。これは、これだけオフィシャルで当時のライブ音源が発売された今、順番にチェックしていけば割合に簡単なことではないだろうか?とういわけで次回検証編。