ワーグナー「ジークフリート」第3幕 第3場(映像)

レヴァイン指揮 シェンク演出 メトロポリタン歌劇場管弦楽団(1990)
ジークフリート」第3幕 第3場の聴き比べの後、ついでと言ってはなんだが、久々にLDから焼いた映像を、ヴォータンとジークフリートの対決の場をつまんでから、ジークフリートブリュンヒルデの出会いの場を見てみる。
レヴァインという人は、昔から何でもそつなくこなすが、角の取れた無個性な音作りをする、と思っていたのだが、実はアメリカ人らしく(といってはなんだが)聞き手の神経を刺激しすぎない、いわばハリウッド映画のBGM的な仕上がりに徹した、そういう意味では、アメリカ向けという事に徹底した、頭のいい人なのかなあ、という気がしてきた。
しかし、二人が出会って、愛を語る、それが1時間近くも必要なんだろうか。欧米人は、ここまで言葉を使わないと、愛が語れないんだろうか、等と思ってしまうが、そんな事を言っては、そもそも長大なワーグナーのオペラは成り立たない。
しかし、ワーグナーの聴き方は、あまりかまえて「歌や音楽を聴く」のではなく「歌や音楽に身をゆだねる」ものなのだなあ、と最近はわかってきたので、まあ、そう文句も言うまい。
歌手陣は、当時の最高レベルとは言え、やはり往年の名歌手に比べると物足りない。
しかし、このメト盤の価値は台本どおりの演出にある。欧米ではワーグナーはさんざん見られてきているので、逆にオーソドックスな演出の映像がきわめて少ない。日本人は、そうそう「指環」に触れるわけではないので、始めてみる映像が、例えば現代に時代を映した「指環」であったら、やはりつらいものがあるだろう。なんで、当時「ワルキューレ」や「神々の黄昏」も買っておかなかったのか、と悔やまれるが、単純に当時は、知識としてしか「指環」に興味が無かったのと、とにかく長いので値段がはったので、いちばんシンプルであろう「ジークフリート」だけを買った記憶がある。
なので、今後のデアゴスティーニ・オペラに期待だな。