ケルビーニ「メデア」

バーンスタイン指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団(1953)
メデア:マリア・カラス
グラウチェ:Maria Luisa Nache
ネリス:Fedora Barbieri
ジャゾーネ:Gino Penno
クレオンテ:Giuseppe Modesti

モーツァルトBOXを一休みしてカラスBOXへ戻る。カラスBOXは作曲家の生れた順に聴くつもり。ケルビーニはモーツァルトの4歳下である。
バーンスタインは先入観ではイタオペって雰囲気じゃないんだが、ミラノ・スカラ座初登場の歴史的記録だとか。
物語は、御存じの方も多いと思うが、ギリシャ神話の、魔女とも言われる王女「メデア」(メディア)の話。
愛する男性の為に魔力を使うも、その愛の重たさに男性は別の女性を娶ろうとするが、メデアはその女性、さらには男性との間に生まれた二人の子供まで殺して去ってゆく・・・・メデアは怖いけど、やはり悪いのは男のような気がする。
カラスはオペラのみならず、映画「王女メディア」でもメデアを演じている。
そのぐらい当たり役で、かつこのオペラの普及はカラスのおかげだったりする。
なので、カラスの「メディア」は全6種類、本来はオフィシャルのステレオ番(セラフィン指揮)を聴くべきだろうが、このバーンスタイン盤は、音もあまりよくないけれど、カラスが最も若い時期の録音だという事に価値があると思う。
で、聴く前は、所詮古典派だろう、となめてかかっていたが、ドラマティックさが半端ではない!形式は古典派なのに、既にヴェルディワーグナーあたりまで到達している感あり。これは、もっといい音で聴きたいな、と思いながら聴いていたが、だんだん音楽自体の迫力が、音の悪さに勝ってきて、音の悪さが気にならなくなってきた。うーんすごい曲だ。若きバーンスタインもなかなかに激情的で、バーンスタイン嫌いの私もこれならOK。
カラスの気迫も、特に最終幕なぞ尋常ではない。