チャイコフスキー 歌劇「オルレアンの少女」

チャイコフスキー  歌劇「オルレアンの少女」
ボリス・ハイキン指揮 レニングラードキーロフ歌劇場管弦楽団(1946)
ソフィア・プレオブランジェンスカヤ:ジャンヌ・ダルク
ヴィターリ・キルチェフスキー:シャルル七世
ニコライ・コンスタンティノフ:枢機卿
オディーラ・カシェワロワ:アグネサ妃
レオニード・ソロムヤク:リオネル
V・ルノフスキ:デュノア


「オルレアンの少女」というのは「ジャンヌ・ダルク」の事である。つまり、フランスが題材である。フランス・オペラと言えばグランド・オペラである。チャイコフスキーがグランド・オペラを書いたのである、と言えれば話は簡単なのだが・・・・
原作は、かのベートーヴェンの第9の歌詞に採用された事でも有名な、劇作家シラーなのだが、この人はドイツ人である。ドイツ語の原作からロシア語に翻訳されたものを元に、チャイコフスキー自身が脚本を書いたのだ。
さらに、この話、ジャンヌの恋物語なのである。ジャンヌは聖女である。その恋物語なんぞ、フランス人にしてみたら噴飯ものではないのか?ドイツ人作家シラーだからこそ書けたのではないか。
となると、バレーの場面があろうが、音楽的にグランド・オペラ的であろうが、これは本当にフランス精神にのっとったグランド・オペラなのか?というと、かなり疑問は残る。
チャイコフスキー自身は、これを足掛かりにして、西欧への進出を図りたかったようだが(だからフランスの題材)ロシアでの初演からしばらくは成功したものの、その後このオペラが世界的評判になった、という話は聞かない(らしい)
と大変ネガティブな前置きだが、純粋に音楽を聴く分には、すこぶるいいんだよなあ。