ホルライザー スワロフスキーのワーグナー管弦楽曲集

ワーグナー管弦楽曲
ホルライザー指揮
スワロフスキー指揮 ハンブルク交響楽団(1960)
ネット通販で、ホルライザーを探していたら

Tannhauser Overture Hollreiser Swarowsky

とあるだけの、画像も曲目情報も全くないものを見つけて、ホルライザー自体録音が少ないので、ダメもとで注文してみたが、届いてみたら、録音年も、どの曲をどの指揮者が指揮しているのかの情報も無い、というあきれたCDであった。
慌ててネットで調べたら、アナログ時代の情報があった。収録曲は以下のとおり(アナログ時代と曲順が違うが)

ニュルンベルクのマイスタージンガー 前奏曲
ローエングリン 第1幕への前奏曲 第3幕への前奏曲 婚礼の合唱
タンホイザー 序曲
トリスタンとイゾルデ 前奏曲

このうち、タンホイザー 序曲のみスワロフスキーが指揮している。

ニュルンベルクのマイスタージンガー 前奏曲は、けっこうテンポが速いが、のびやかな印象を与える、という不思議な演奏。他の2曲も、ホルライザーらしい、小細工のない名演。いつもながらトリスタンは「愛の死」も収録してほしかった。

スワロフスキーは「ニーベルングの指環」が大絶賛されているので、いつか買おうと思っているのだが、その露払い的にタンホイザー序曲が聴けるのはうれしい。若干音が悪いので、1960年より前の収録かもしれない。
指揮者の指導者としても有名だった、というスワロフスキーも小細工のないのに、味わい深い演奏をする人だ。昔からスター指揮者といわれる人たちが苦手なのは、この小細工がいやなのだ。だから、名前が通ってなくても、こういう指揮者の演奏を探してしまうのだな。

 

 

ヴァルヴィーゾの「ばらの騎士」

R・シュトラウス 「ばらの騎士
ヴァルヴィーゾ指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団(1959)
エリーザベト・グリュンマー:元帥夫人
ケルスティン・マイヤー:オクタヴィアン
リーザ・オットー:ゾフィー
ヨーゼフ・グラインドル:男爵
エルンスト・クルコフスキ:ファニナル
ヴァルヴィーゾの「ばらの騎士」の全曲盤は、この1959年盤とサンフランシスコ・オペラの1971年盤があるが、入手可能化なのはこの1959年盤のみ、さらにグリュンマーの元帥夫人は3種あるものの、やはり入手可能なのはこの録音のみ、なので貴重といえば貴重。ただし、以前から書いているように、この人は声が出すぎるために、この役にしては若干抒情性に欠けるか。
音はあまりよろしくない。(欠落やピッチの不安定なところもある)
グラインドルの男爵、スウェーデンのメゾ、ケルスティン・マイヤーのオクタビアン、リーザ・オットーのゾフィーも素晴らしいが、それぞれの役での録音はこれのみ。もっと音の良い録音で残してほしかった。特にケルスティン・マイヤーは録音自体が極端に少ないのは実にもったいない。
ヴァルヴィーゾは、ハイライト盤より若干テンポが速いが、個人的にはこちらのほうが好ましい。
音の良い録音で残してほしかったと書いたけれど、音が悪くても発売した、ということは、それだけこの録音に価値がある、と認められたのだ、と思うことにしよう。

ホルライザーの「ばらの騎士」(ハイライト)

R・シュトラウス 「ばらの騎士」(ハイライト)
ホルライザー指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団(1964)
ヒルデガルト・ヒレブレヒト:元帥夫人
ヘルタ・テッパー:オクタヴイアン
エリカ・ケート:ゾフィー
ヴァルター・ベリー:男爵
チェーザレ・クルツィ:ヴァルツァッキ
クリスタ・ルートヴィヒ:アンニーナ
以前ブル4を絶賛したホルライザーの
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2016/11/17
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2016/11/17/045011
ばらの騎士」があった!しかしヴァルヴィーゾ同様ハイライト盤・・・・で、ヴァルヴィーゾの全曲盤の前にこちらを先に聴く。
収録は
第2幕 銀のばら献呈のシーン
第1幕 イタリア人歌手のアリア
第1幕 元帥夫人のモノローグ
第2幕 終結部
第3幕 三重唱から終結部
先日のヴァルヴィーゾのハイライト盤より収録場面は多いが、より短く抜粋しているのでトータルは短いし、前奏曲がないのはちょっと物足りないか。
ホルライザーは、ブルックナーと同様に小細工のない直球勝負で、それはそれで清々しい。
歌手陣もけっこう豪華であるが、さすがにベリーの男爵がすばらしい。
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20090811/p1
いずれにせよ、録音の少ないホルライザーの貴重な記録である。
だだ1点文句がある。例の、ファニナルと元帥夫人の
「若い人たちとは、こういうものですかな」
「Ja,Ja」
が伴奏だけで歌が無いのだ!ここは、このオペラ最後の重要な締めなのだ。その証拠にヴァルヴィーゾ盤は、ここだけのためにファニナル役の歌手を用意したほどである。これはもったいない。(あれ?ヴァルヴィーゾ盤は男爵役も歌手役もいないので、その分ギャラが浮いたからか・・・・?)

ヴァルヴィーゾの「ばらの騎士」(抜粋盤)

R・シュトラウス 「ばらの騎士」(抜粋盤)
ヴァルヴィーゾ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1964)
レジーヌ・クレスパン:元帥夫人
エリーザベト・ゼーダーシュトレーム:オクタヴィアン
ヒルデ・ギューデン:ゾフィー
ハインツ・ホレチェック:ファニナル
というわけで
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20111116/1321387334
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2016/07/01/044135
ヴァルヴィーゾの「ばらの騎士」の1964年の正規盤(抜粋盤)と1959年の発掘音源盤を入手した。まずは抜粋盤を聴く。
収録されているのは
第1幕 冒頭部
第1幕 元帥夫人のモノローグから終結部
第2幕 銀のばら献呈のシーン
第3幕 三重唱の前から三重唱、そして終結部

クレスパンである!ゼーダーシュトレームである!ギューデンはお馴染みである(笑)
聴く前は、ギューデンの世代が上なので心配したが、聴いてみたら全く違和感がない。さすが当時の娘役の第一人者。そして、三人とも完璧だ!
ヴァルヴィーゾは若干テンポが遅いが、それは好みの範疇であろう。これがもし全曲盤であったら、間違いなくベストであったろうに!なぜ!全曲盤を録音しなかったのだ!
しかし、抜粋盤であっても「ばらの騎士」ファンは必携であろう!