STORMWATCH(1979)

JETHRO TULL
さて、このアルバムも長い事CDが無かったので初めて聴いた。「SONGS FROM THE WOOD」 からの、いわゆる「トラッド3部作」の最後の作品だが、大分前2作と色合いが違う。直前にバレーの舞台音楽を企画し、それが流れて、その時の曲が流用されている事もあるのだろうが、非常に美しいクラシカルな魅力を持った曲が多い。また、単独のインスト曲としては「STAND UP(1969)」の「Bouree」以来であろうインスト曲が2曲も入っている。
振り返ると「TOO OLD TO ROCK'N'ROLL:TOO YOUNG TO DIE!(1976)は、似たような事情があって、同名の舞台音楽を想定して作成された作品で、(やはり流れた)それまでのプログレ路線より、ストレートなロックの魅力が増えたアルバムだった。ここで一旦リセットをかけたのか、その次から「SONGS FROM THE WOOD」のトラッド路線が始まる。同様に、この「STORMWATCH」で一旦リセットして、「A」「The Broadsword and the Beast」等のエレクトリック路線が始まるのである。タルの歴史を研究する意味で、興味深い事かもしれない。
このアルバムは、他のアルバムに比べると大変聴きやすいので、もしかしたら初心者のタル入門に適してるのでは?と、思ったりもする。通常、タル入門は「AQUALUNG(1971)」だったり、前述の「SONGS FROM THE WOOD(1977)」をあげるのが、タルファンとしては常識なのであるが、「AQUALUNG(1971)」は確かに傑作ではあるのだが、初めて聴くには、どうかと思う点がある。それは、イアンが、ハードな曲調を意識して、きたない発声をしている曲が多いのだ。初めて聴く人には、是非彼の美声を堪能してもらいたいのだ。
PS.このアルバムのボーナストラック最後もインストだが、なんと「BLACKMORE'S NIGHT」のインストを思わせる中世色溢れる曲なのだ!すでにタルはこんなのをやっていたのだ。