ロカノンの世界

アーシュラ・K・ル・グウィン
ル・グウィンの長編第1作をやっと読むことが出来た(カバーがおモー様(萩尾望都)ではないか!)この、かつて辺境までたどり着いた人類が一旦衰え、長い年月の後に復活してきて、かつて自分たちの先祖が(その土地で生き抜くために様々に自分たちを改造したりして)住み着き、生き長らえてきた世界を再発見する、と言うシチュエーションの「ハイニッシュ・ユニバース・シリーズ」この設定のおかげで、神話的世界と、科学的世界が同居すると言う離れ業に、ちゃんと理屈が付く。上手い手である。これってル・グウィンが発明した方法なのだろうか。マキャフリーの「パーンの竜騎士」にSF的説明がつけられたのは、けっこうあとだったし(これも、一時はまったな。またいつかまとめて読みたいな)
初めのうちは、プレ「闇の左手」みたいかなと思ったが、主人公が「心話」を学ぶくだりから様相が違ってきた。ここらへん「デューン」でポウルが予知能力に目覚めた時なみのダイナミズムだ。テーマも深いし。本来私は、ちゃんと落ちがついているSFが好きなはずなのだが、この人の作品は(なんでだか)離れられない魅力がある。そういえば「デューン」のフランク・ハーバートやジャンルは違うが、ミステリのP.D.ジェイムズもそうだ。自分の中で再構築して納得できるような人たちではない(というか、すなおに歯が立たない部分がある)のに、惹かれてしまう。そして本屋で持ってない作品があると買ってしまう。(そして、すぐには読めずに、長いことほっておいたりする・・・)