以前にもちらっと書いたが、アントン・デルモータというスロヴェニア出身のテノール歌手がいた。(1910〜1989)見た目はこんな感じ
アナログ時代の若い頃フルトヴェングラーにはまった時に、歌が入る曲のテノールがこの人が多かったので、自然に聴くようになり、今でも大時代的な歌唱も含めて好きな歌手である。ちなみにフルトヴェングラーの元で歌っているのを聴いていたのは「ドン・ジョヴァンニ:ドン・オッタービオ」「魔笛:タミーノ」「マタイ受難曲:福音史家」等
数年前に父クライバーの「ばらの騎士」を買った時、「歌手」役がこの人で大変嬉しかった。主要な役にテノールのいないこのオペラで唯一のテノールの聴かせどころであるこの役が、メロディや雰囲気が彼の歌唱方法にぴったりで、彼のために書かれたのではと思えるほどだった。また、子クライバーの「トリスタンとイゾルデ」で端役として一瞬出てくるが70歳を越えたとは思えない瑞々しい声で往年のファンを喜ばせたものだった。