おばちゃまは東欧スパイ(1971)

ドロシー・ギルマン
ミセス・ポリファックス・シリーズ第3作(翻訳上は第5作)
昨日、「ギルマンのノンシリーズを、執筆順に読もうか、「おばちゃまシリーズ」に戻ろうか、思案中」と書いた。様子見でこの第3作の第1章を読んだら、止まらなくなってしまった(笑)
さて、順序は違うながらも5作品を読んでみて、最初の2作は彼女がアクシデントに対してその独特の才能でそれを切り抜けていくという、いわば「受け」の立場だったのが、この作品から、より「攻め」の立場に変わっていったことがわかる。
ある意味、この作品こそが、その後のシリーズの性格を確立した作品なのではないかと思う。(人死にも最小限だし)
そして、その攻めの姿勢が多くの人のやる気を喚起して、CIAが予想もしなかった成果をあげてゆく様は一種感動的。
また、細かい部分まで実に良く練り上げられている。ああ、この人物の設定は、ここでこう生かす為だったのか、と感心する部分が大変多い(読み易さで、危うく気づかないところだが)
なので、まだ5作しか読んでいないが、感動を含めてシリーズ屈指の傑作に入るのではないかと思う。