バッハ「マタイ受難曲」

クリスマスということで、先日の続き(こちら
アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(1970)
アナログ時代にも持っていたアーノンクール(1970)も久々に聴く。世界初の古楽器によるマタイである。
第1曲で、ソプラノが少年合唱のため、本来の少年合唱との対比が上手くいっていない、という欠点はあるが、テンポが速すぎるということも無く、合唱が歌詞に沿った絶妙なニュアンス付けであること、アリアの出来が素晴らしい事から、個人的にはベスト候補である。
現在となっては「古楽器演奏としては」古くなってしまったと思われている節もあるが、そんなことでこの演奏の価値が下がるわけはまったく無いのである!

クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(1961)
今回はじめて聴いたクレンペラー盤は、テンポが半端無く遅い。しかし、彼の「魔笛」のように実に心地よい遅さで、一種瞑想的な効果もある。
オケ、合唱、の出来のよさに対してソリストはオールスターだが、宗教音楽的には首を傾げざるを得ない人選もあり、その分減点(またもやレッゲの勇み足か)
あまりに重厚な演奏は、逆に今となっては価値がある。これも充分ベスト候補だ。

ヘレヴェッヘ指揮 シャペル・ロワイヤル管弦楽団(1984)
ヘレヴェッヘの旧盤は残響が大きくテンポが若干遅い。それが不満で新盤を録音したそうだが、それでも充分速い。
残響を生かすならもっとテンポを落とすべきだろう。
新旧の評価は二分しており、若干新盤の方が分がいいようだが、個人的には旧盤を取る。