ユッカ=ペッカ・サラステのシベリウス クレルヴォ交響曲

シベリウス クレルヴォ交響曲
ユッカ=ペッカ・サラステ指揮 フィンランド放送交響楽団(1996)
ポリテク合唱団
モニカ・グロープ(Ms)
ヨルマ・ヒュンニネン(Br)
クレルヴォ三昧シリーズである。
ヨルマ・パヌラの教え子であり、ヴァンスカ、サロネンの同級生であるサレステを聴かないわけにはいかない。奇しくも師であるヨルマ・パヌラと同年の録音である。
サレステはヴァンスカやサロネンにも負けないくらい録音が多い。シベリウスの全集もある。若い頃は童顔のイケメンで、本人はそれを嫌ったのかずっと髭をたくわえていた。歳を取った現在も、その髭のおかげでいい歳の取り方をしている(って音楽に関係ない話だな)
さて、演奏の方だが、若干速めのテンポの推進力抜群の演奏で、妙なところでたまに音を強調する癖があるが、3人の中では師であるパヌラの自然体に一番近い演奏である。
サロネンも速めの演奏だったが、この曲の肝でもある第3楽章は5拍子であるが、速めの演奏だとこの変拍子の面白さが聴き手によく伝わるのだ。
ただ、シベリウスは拍子の頭がわかりづらいメロディを乗せているので、もしかしたら聴き手に5拍子であることを意識させたくなかった可能性もある。ここら辺は指揮者の解釈次第になるだろう。
いずれにせよ、この人の残りのシベリウスも(やはり速めのテンポらしい)聴いてみたくなる。まあ、だんだんに、だな。

ヨルマ・パヌラのシベリウス クレルヴォ交響曲

シベリウス クレルヴォ交響曲
ヨルマ・パヌラ指揮 トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団(1996)
ラウルン・イスタヴァト男声合唱
ヨハンナ・ルサネン(S)
エサ・ルートゥネン(Br)

クレルヴォ三昧シリーズである。

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2019/09/25/045639


最初は、録音順に父ヤルヴィから聴いていこうと思ったのだが、このヨルマ・パヌラ盤をネット上で絶賛している人がいたので気になった。
レーベルはNaxosである。Naxosと言えば、個人的にはブルックナー全集をはじめとするティントナーで馴染みがある。
Naxosの理念は、無名でも実力のある演奏家を起用することで廉価で良質の演奏の録音を提供する事である。
このヨルマ・パヌラも、録音は決して多くはないのだが、指揮者兼フィンランドの有数な音楽学院各種の指揮科の教授を歴任しており、オスモ・ヴァンスカ、エサ=ペッカ・サロネン、そしてクレルヴォ三昧シリーズで購入したユッカ=ペッカ・サラステ等々、フィンランドの有名指揮者が軒並み彼の教え子だという。っていうか、この3人が同級生だったとは!!!
前置きが長くなったが、肝心演奏はどこまでも自然体、テンポも、楽器間のバランスも、ヴォリュームコントロールも丁度いい。今までもっとも自然体に近いと思っていたベルグルンド盤さえも凌ぐ無作為の演奏である。人によっては物足りないと思うかもしれない。しかし、こういうクレルヴォが聴きたかった。いや、こういうシベリウスが聴きたかった。シベリウスにはまるきっかけになった、ティントナーによる7番の感動が蘇る。
以前、ブルックナーシベリウスは指揮者を選ぶとか、いろいろ書いたが

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/04/30/045815

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/03/17/060824

それが如実に証明された演奏である。この曲の良さが素直にわかるので、1枚だけこの曲を購入したい人には第一に勧めたい。
自分の中では、シベリウス指揮者のトップはヴァンスカである。それは、彼の精緻、清澄な演奏がシベリウスの自然体に近い、という印象があったからだが、あくまで「近い」のであって自然体そのものではなかった。
なので、ヨルマ・パヌラのシベリウスがもっと多かったらトップの座は、彼になるだろう。っていうか、交響曲全集、管弦楽曲全集をNaxosで出してほしかった。現在89歳だが、もう無理なんだろうか。ティントナーのブルックナー全集は彼が80歳近くになってからだったんだが・・・
うーん、クレルヴォ三昧の最初にこんな演奏を聴いてしまうと、残りが逆につらいかもしれない。

個人的「ルパンの娘」顛末記

深田恭子主演の「ルパンの娘」であるが、始まった時面白そうだと思って見てみた。
ある程度漫マンガチックではあろう、と思っていたが、予想以上にトホホだったので第1話の途中で見るのをやめてしまった。で、2話以降も見ていなかった。
田中みな実が出たあたりから、再度見始めてはまってしまった。
で、原作を買ってみたら、メインストーリーがまったく違っていたので、なんだ、設定を借りただけか、とちょっとがっかりした。
ところが、最終話に向けてとうとう原作の大いなる謎解きのメインストーリーが始まって、なるほど、こういう構成だったのね、と感心した。
そして先日の最終話はなかなかの感動大作に仕上がっていた。ちゃんと全部見ればよかった。
ちなみに黒幕役の懐かしい浜田晃であるが、その青年時代を息子の浜田学が演じているのも、ニヤッとしてしまう。
あ、第1話に出ていた、瀬戸康史の妹役のさとうほなみは、まったく最初からいなかったことになっているような展開であるが、途中を見ていないのでなぜ出てこなくなったか理由がわからない。どなたかご存知ないか。

クレルヴォ三昧の始まり

あいかわらず、シベリウスのクレルヴォ交響曲のヘビロテが続いている。
今、手元にある4種の録音について、ざっと語ると
素朴な迫力のベルグルンド盤
精緻、清澄のヴァンスカ盤
若干通俗的ながら、面白い演奏のサロネン
楽器間のバランスが新鮮なデイヴィス盤
ということになるが、他のクレルヴォ交響曲も聴きたくなってしまって、某通販サイトで入手可能な分を注文してしまった(汗)ちなみにヴァンスカの新盤以外はけっこうお安い。
手元にあるものを含めて、録音年順(もしくは発売年順、入手後に録音年順に統一して修正する予定)に指揮者を並べると以下の通り。

1970 ベルグルンド
1985 ネーメ・ヤルヴィ(今回注文)
1992 サロネン
1996 デイヴィス
1996 ユッカ=ペッカ・サラステ(今回注文)
1996 ヨルマ・パヌラ(今回注文)
1997 パーヴォ・ヤルヴィ(今回注文)
2000 ヴァンスカ
2006 アリ・ラシライネン(今回注文)
2007 ロバート・スパーノ(今回注文)
2016 ヴァンスカ 新録音(今回注文)

ヤルヴィ親子以外は寡聞ながら見事に知らない指揮者ばかりである。
また、世界初録音のベルグルンドからネーメ・ヤルヴィまで、15年も空いているのもある意味びっくり。
また、1996年、1997年で4種も出ているのも不思議だ。再評価のきっかけでもあったんだろうか。