シベリウス クレルヴォ交響曲
ヨルマ・パヌラ指揮 トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団(1996)
ラウルン・イスタヴァト男声合唱団
ヨハンナ・ルサネン(S)
エサ・ルートゥネン(Br)
クレルヴォ三昧シリーズである。
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2019/09/25/045639
最初は、録音順に父ヤルヴィから聴いていこうと思ったのだが、このヨルマ・パヌラ盤をネット上で絶賛している人がいたので気になった。
レーベルはNaxosである。Naxosと言えば、個人的にはブルックナー全集をはじめとするティントナーで馴染みがある。
Naxosの理念は、無名でも実力のある演奏家を起用することで廉価で良質の演奏の録音を提供する事である。
このヨルマ・パヌラも、録音は決して多くはないのだが、指揮者兼フィンランドの有数な音楽学院各種の指揮科の教授を歴任しており、オスモ・ヴァンスカ、エサ=ペッカ・サロネン、そしてクレルヴォ三昧シリーズで購入したユッカ=ペッカ・サラステ等々、フィンランドの有名指揮者が軒並み彼の教え子だという。っていうか、この3人が同級生だったとは!!!
前置きが長くなったが、肝心演奏はどこまでも自然体、テンポも、楽器間のバランスも、ヴォリュームコントロールも丁度いい。今までもっとも自然体に近いと思っていたベルグルンド盤さえも凌ぐ無作為の演奏である。人によっては物足りないと思うかもしれない。しかし、こういうクレルヴォが聴きたかった。いや、こういうシベリウスが聴きたかった。シベリウスにはまるきっかけになった、ティントナーによる7番の感動が蘇る。
以前、ブルックナーとシベリウスは指揮者を選ぶとか、いろいろ書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/04/30/045815
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/03/17/060824
それが如実に証明された演奏である。この曲の良さが素直にわかるので、1枚だけこの曲を購入したい人には第一に勧めたい。
自分の中では、シベリウス指揮者のトップはヴァンスカである。それは、彼の精緻、清澄な演奏がシベリウスの自然体に近い、という印象があったからだが、あくまで「近い」のであって自然体そのものではなかった。
なので、ヨルマ・パヌラのシベリウスがもっと多かったらトップの座は、彼になるだろう。っていうか、交響曲全集、管弦楽曲全集をNaxosで出してほしかった。現在89歳だが、もう無理なんだろうか。ティントナーのブルックナー全集は彼が80歳近くになってからだったんだが・・・
うーん、クレルヴォ三昧の最初にこんな演奏を聴いてしまうと、残りが逆につらいかもしれない。