「トータル・リコール」(1990)「続・赤毛のアン/アンの青春」(1988) ローズマリー・ダンスモア

昨夜、久しぶりに「トータル・リコール」を見た。印象的なシーン以外ほどんど記憶になかった状態で見たので、けっこういろいろな発見があった。
冒頭のリコール社のシーンに出演していたドクター・ラル役の女性の、表情やセリフをいう時の口元の動き、そしてニヤっとした時に片方の口角だけが上がる感じに「絶対どこかで見たことがある!」と気になって調べてみたら、カナダのローズマリー・ダンスモアという女優さんで、なんと「続・赤毛のアン/アンの青春」に出演していた!!
キャサリン・ブルックという、アンが先生として赴任する学校の校長役で(原作では副校長)いわば敵役なのだが、徐々にアンによって心が開かれ、別人のようになる。それを演じるローズマリー・ダンスモアの演技が実に印象的だった。


こちらはシュワちゃんが暴れ始めてからなので、その前にシュワちゃんに説明している時の片方の口角があがる「ニヤッ」が見れない。

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こちらは心を開きかけて別人のようになる直前のブルック校長。1分過ぎぐらいから片方の口角があがる「ニヤッ」に近い表情が何回か出る。

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シベリウス クレルヴォ交響曲 第2楽章とブルックナー

クレルヴォ交響曲の第2楽章は、通常の交響曲でいうところの緩徐楽章にあたるのだが、時折ブルックナーを感じさせる部分がある。
若き日のシベリウスがウィーンへ音楽留学した際、ブルックナー交響曲第3番の演奏に触れ、感銘を受けた、という逸話がある。
そして帰国後に作曲されたのがクレルヴォ交響曲なので、意識的にか無意識的にか影響を受けているのかもしれない。

デイヴィスのクレルヴォ交響曲 第1楽章

クレルヴォ交響曲 第1楽章
デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団(1996)
すっかりクレルヴォ交響曲がヘビロテになっている。特に第1楽章。以前、マイスタージンガー前奏曲にはまった感じに似ている。
そもそも、シベリウスワーグナーの影響を受け、オペラ作曲家を目指し数々のスケッチを書いたが、自分の才能がオペラよりも交響詩向きだと気づいて、そのスケッチを初期の管弦楽曲に流用している。
このクレルヴォ交響曲の第1楽章は、イントロダクションと銘打たれ、直接の物語の内容ではなく、クレルヴォの物語全体に対する序曲となっている。
そうなると、シベリウスが最初期に構想したオペラの序曲が、そもそもこれだったのでないか、等と想像が膨らむ。
で、ベルグルンド、ヴァンスカ、サロネン以外にももっと聴きたいなあ、と思っていたら、デイヴィスのシベリウスBOXにも収録されている事を思い出した。しかし、聴いた覚えがない。たぶん他の交響曲でがっかりしたので、聴いていなかったのだろう。
というわけで聴いてみる。相変わらず弛緩したような遅い演奏で、さらに曲の部分部分を独立させたような演奏で流れは悪く、ああ、デイヴィスのシベリウスはこんなだったなあ、とがっかりしながら聴いていた。
しかし、1点だけこれは!と思ったのが、例の息の長い主題の時、対位法的な低弦旋律も浮き上がるようにしていて、主旋律とほぼ同等な扱いをしていて、これは新鮮な響きだった。他の指揮者でこの手法を聴きたかったな。

テッド・チャン「あなたの人生の物語」

映画「メッセージ」の原作「あなたの人生の物語」を含む中短編集であるが、まずはその表題作「あなたの人生の物語」(ネビュラ賞受賞)と、デビュー作でやはりネビュラ賞を受賞した「バビロンの塔」を読んでみる。
正直、期待が大きすぎたかもしれない。
発想も、本職がテクニカルライターという事もあろうが、その発想を展開させる手法も、さらに構成も実に見事である。見事ではあるが、個人的にはそれにプラス・アルファを期待してしまっていた。
それは、フィリップ・k・ディックであったり、アーシュラ・K・ル・グウィンが持っている、作品の一つ奥にある何かなのだ。
つまりは、秀逸なアイデア・ストーリーではあるが、それ以上でもそれ以下でもない底の浅さが目に付く。(落ちも途中で気付くし)
これはあくまで、個人的に勝手にこの人に期待してしまっていたせいなので作者のせいではない。
さて映画「メッセージ」はどうなっているのかな。