デイヴィスのクレルヴォ交響曲 第1楽章

クレルヴォ交響曲 第1楽章
デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団(1996)
すっかりクレルヴォ交響曲がヘビロテになっている。特に第1楽章。以前、マイスタージンガー前奏曲にはまった感じに似ている。
そもそも、シベリウスワーグナーの影響を受け、オペラ作曲家を目指し数々のスケッチを書いたが、自分の才能がオペラよりも交響詩向きだと気づいて、そのスケッチを初期の管弦楽曲に流用している。
このクレルヴォ交響曲の第1楽章は、イントロダクションと銘打たれ、直接の物語の内容ではなく、クレルヴォの物語全体に対する序曲となっている。
そうなると、シベリウスが最初期に構想したオペラの序曲が、そもそもこれだったのでないか、等と想像が膨らむ。
で、ベルグルンド、ヴァンスカ、サロネン以外にももっと聴きたいなあ、と思っていたら、デイヴィスのシベリウスBOXにも収録されている事を思い出した。しかし、聴いた覚えがない。たぶん他の交響曲でがっかりしたので、聴いていなかったのだろう。
というわけで聴いてみる。相変わらず弛緩したような遅い演奏で、さらに曲の部分部分を独立させたような演奏で流れは悪く、ああ、デイヴィスのシベリウスはこんなだったなあ、とがっかりしながら聴いていた。
しかし、1点だけこれは!と思ったのが、例の息の長い主題の時、対位法的な低弦旋律も浮き上がるようにしていて、主旋律とほぼ同等な扱いをしていて、これは新鮮な響きだった。他の指揮者でこの手法を聴きたかったな。