江戸川乱歩賞受賞作にて高橋克彦さんのデビュー作である「写楽殺人事件」(と、いわゆる「浮世絵三部作」)は読み返さなくなって久しかった。と言うのも第一に高橋さんの他のジャンル、SF、伝奇、東北を舞台とした歴史小説の方に熱心になっていったこと、第二に三部作における主人公(とその妻)の物語があまりに悲しくて読み返しづらかった、ということがある。
しかし「べらぼう」もとうとう写楽登場ということで「写楽殺人事件」を含めた三部作を読み返すことにした。
以前、「だましゑ歌麿」を再読した時に、田沼意次、佐竹義敦(秋田蘭画の祖)そして喜三二(秋田藩士、平沢常富)蔦屋重三郎の繋がりについて書いたが
https://hakuasin.hatenablog.com/entry/2025/08/09/164440
既に「写楽殺人事件」で指摘されていたのであった・・・・
そして興味深いのが作中主人公の発言として
(前略)写楽っていうのは、偶然出てきたものではなく、何か、寛政の改革でダメージを受けた蔦屋をはじめとする田沼関係者によって打ちあげられた花火のような気がするんだ(中略)喜三二、京伝(中略)江漢。藩主を失ってしまった曙山の側近。いろいろな人間のエネルギーが加わっていると見るべきだろう。
とあった(ちなみに曙山は佐竹義敦の号)
予告を見る限りべらぼうでは「写楽プロジェクト説」と採っているようだ。「写楽殺人事件」では「写楽プロジェクト説」は否定されているが上記の記述は「べらぼう」の展開に近いものを感じて興味深い。
これを機会に高橋克彦「浮世絵三部作」を読んでくれる人が出てくるとうれしいなあ。浮世絵に興味が無くても、日本史の謎の解明もあるし「北斎殺人事件」は北斎隠密説の嚆矢としても有名だし。