悪魔が来たりて笛を吹く(1979)

1970年代後半の「金田一耕助」ブームはそれこそ一世を風靡したものだ。基本的には、石坂浩二、市川コンビがやはり定番。渥美清小川真由美の「八つ墓村」、鹿賀丈史岩下志麻の「悪霊島」もよかった。
しかし、1本選べと言われたら、わたしは西田敏行の「悪魔が来たりて笛を吹く」を選らぶ。興行的に失敗したらしく、高い評価がないようだが、もったいない話だ。まず、原作の設定を脚色し、より悲劇性を高めている。それも自然な形で。だから、あとから原作を読むと、逆に物足りなくなってしまうほどだ。おどおどした金田一の西田敏行、ミステリアスな仲谷昇、妖艶な鰐淵晴子、清楚な斎藤とも子等役者陣もすばらしい。
が、何よりも声を大にして言いたいのが、ニ木てるみの(体当たりのオールヌードを含めた)名演である!彼女のおかげで、悲劇性がより効果的に高められている。
ただ一つ文句があるとしたら、この小説の一番の肝である設定が省略されていることだが、それも、許してしまおう。もっと評価されていい作品だと思う。DVDにもなってないし・・・・