ゲド戦記:影との戦い(1968)

(Earthsea Cycle:A Wizard of Earthsea)
アーシュラ・K・ル=グウィン
途中経過
ゲド戦記という作品の存在を知ったのはル=グウィンの名作「闇の左手」を読んだ時の解説文だったと思うので、もうかれこれ30年近く前になる。しかし、ハヤカワにも創元にも無いしどこから出ているんだろうと脳天気なことを考えていた。それからずいぶんたって岩波から出版されていることを知ったが、なにせ箱入りでお高かった。まず1冊読んで・・・ということのできない性分なので、いつか安く出ないかなあ、でもジュブナイル系は安くならないよなあ・・・・で、また幾星霜。このたび、どこかでアニメ化されるということで、めでたくお安く出版されることになり、やっと購入した。というわけで、何が言いたいかというと、アニメ化に便乗して購入したのでは無い!ということ。昔から読みたかったのだ!ということ(だったら、高くても買え!ってね)
で、前述のとおり途中経過だが、宮崎駿氏が影響受けたというのが良くわかる部分が多々見える。「影」のイメージ、主人公がかぶる呪いのようなもの、主人公によりそう小動物 ETC ETC。物語的にはかなり地味で、いわゆるハラハラドキドキの展開が満載というわけではない。どちらかというと哲学的で、魔法の世界を描いているが、実は魔法使いの世界で現実へ具象化することで人間の内面世界を描いているのだと思う。そこらへんいかにもル=グウィンである。こんな地味なのが世界3大ファンタジーってほんとか?っていうかそれは海外の読書人をなめた発言か?反省。
ちなみに、いろいろな人が指摘するとおり、邦題「ゲド戦記」は(もちろんインパクトを考えたのだろうが)合っていない。アースシー・シリーズでいいだろう。
さらにちなみに、この間 "GEDO"でNET検索したら"GEDO SENKI"(あのアニメね)がひっかかり、本当は"GED"であることを知ったのだった(恥)
さらにさらにちなみに「闇の左手」は1969年なので、それより前の作品だというのもちょっと驚き。