ゲド戦記外伝(邦訳2004)
アーシュラ・K・ル=グウィン
「カワウソ」
「ダークローズとダイヤモンド」
途中経過
アースシーの世界から離れがたく、ゆっくりゆっくり読んでいる。ので最初の2作までしか読んでいない。1〜3作は「ゲド戦記」前史、4作は大賢人になったゲドのサイドストーリー、5作は4巻と5巻の間におきた重要事件で5巻にも登場する重要人物の物語。出版も4巻と5巻の間なので、本来ならば4巻の後に読むべきだと思う。しかし、4巻を読み終わって一息つけるかというと、やっぱり一気呵成に5巻へ進みたくなるのが人情だろう。
4巻と5巻の間の執筆ということで、フェミニズムの色が濃い。1作はローク創生期の話だが、ロークの元は女性が作ったことが語られる(いつの間に女人禁制になったのやら→下記の「アースシー解説」にあった)2作では魔法の道より音楽と女性への愛を選ぶ青年の話で(前にも言ったが魔法使いはその能力を保持するため精神的な宦官になるという暗黙の了解があり、それが確立した頃の話、1作ではローク創設の功労者は普通に愛の生活を送っていたのだが)これまた魔法への絶対性への懐疑が語られる。ル=グウィンはどこまでも反骨の人だ。ゲド3部作でアンチ・ファンタジーを書き、その後はアンチ「ゲド3部作」に挑戦したのだから。
PS.おまけ(?)として作者によるアースシーの世界の解説があるので、やはり必読。
PS2.ル=グウィンのSFの文庫はのきなみ廃版状態で、アマ○ンユーズドでも高値がついてる。ハヤカワさん、今を逃すと、また売れなくなるから(笑)今のうちに復刊したほうがいいですよ。売れますよ(笑)