大学祭の夜(1937)エッセイ

推理小説詩学』収録
ドロシー・L・セイヤーズ
ひとたび気に入ってしまうと、その人のものは何でも(作家の場合)読みたくなってしまう悪い癖があって、セイヤーズのエッセイ等がハワード・ヘイクラフト編の"The Art of the Mystery Story" (1946) に収録されている事を知った。日本では「推理小説の美学」「推理小説詩学」に収録されている。「ミステリの美学」というのもあって、単純に「推理小説の美学」の新訳かと思って、そっちを買ったところ、新訳は新訳だが「推理小説の美学」の新訳ではなく、オリジナルからの抄訳で、「推理小説の美学」でしか読めないものもあるというので、結局3冊とも買うはめになってしまった。セイヤーズを読みたかっただけなのにい!それでもオリジナルの全訳は達成されていないらしい。
まとめると
推理小説の美学』 19編を収録。
推理小説詩学』 14編を収録し、他の評論・エッセイを追加。
『ミステリの美学』 23編を収録。
ということらしい。
で、セイヤーズである。ピーター卿の裏話であるが、「毒を食らわば」でハリエットを登場させたのは、ゆくゆくはハリエットと結婚させてピーター卿を葬るつもりだったのだが、あまりにも現実味の無いピーター卿と現実的なハリエットの結婚は無理と判断し、ピーター卿を「人間」にするための大手術の過程が「学寮祭の夜」にいたるまでの諸作品だったとか。以前ハリエットが出る作品だけ読め、みたいなことを書いたが訂正する。ちゃんとみんな読みましょう。びっくりしたのが、この時点(「忙しい蜜月旅行」執筆後)で、セイヤーズは気持ちが変わったのか(ピーター卿が変わったせいなのか)ピーター卿シリーズの続行に意欲的だったという事が分かる。で、先日書いたように、未完の作品が残っている。意欲はあったがいざ書いてみると難しかったと言うわけか。そこらへんも読み取れるかもしれないので、早く翻訳されないかな。