ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集6:ヴァンパイアの塔」エラリー・クイーン編「ミニ・ミステリ傑作選」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集6:ヴァンパイアの塔」
こちらもグリーン氏編集によるラジオドラマ集"The Dead Sleep Lightly"(グリーン氏による長い解説付き)に、短編「刑事の休日」を加え、さらにマジックとミステリー評論の大家、松田道弘の「新カー問答」も併せて収録したもの。
"The Door to Doom"のラジオ・ドラマはサスペンス色が強かったが、こちらは怪奇色が強い作品が多い。どんでん返しが見事な「悪魔の使徒」が興味深い。
また「死者の眠りは浅い」の前半は、かの「猿の手」なみの恐怖が味わえる。
他作品からのプロットやトリックの流用が何作かあるものの、読み応えは充分である。

 

エラリー・クイーン編「ミニ・ミステリ傑作選」
先日、カーの「ホームズ・パロディ」の1作が、重複を避けるために「カー短編全集5」からカットされていた、という話を書いたのだが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/04/24
それがこの「ミニ・ミステリ傑作選」である。1冊の中に70編というのはさすがに圧巻である。
とりあえずカーの「ホームズ・パロディ」のみ読んで、あとは暇を見つけて読むつもりだが、ざっと作者の名前を見て(ほとんど知らない人ばかりだが)ショート・ミステリーならフレドリック・ブラウンは欠かせないだろう、と思ったが無い。あれれ、と思ったが、例のごとく重複するので日本版ではカットされたとの事(ちなみに「まっ白な嘘」の「町を求む」)他にもカットがあり結果的に67編が収録されている。
まあ、フレドリック・ブラウンがちゃんと評価されていたのを知って一安心。
それと、なんとアーサー・C・クラークの名が見えるのがSFファンとしては嬉しい。「火星の犯罪」という作品だが、これは未読のはず。