R・シュトラウス 「ばらの騎士」

クナッパーツブッシュ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1955)
クナのファンと言っていながら、彼が「ばらの騎士」を、それも好んで指揮していたとは知らなかった(汗)ウィーン国立歌劇場再建記念公演の放送用録音。前奏曲こそ早めのテンポだが、それ以降は全体にゆっくりめ、ただしフィガロのような極端なテンポの遅さは無い。あたかもワーグナーブルックナーを指揮しているようで、音楽が実によくわかる。例えばこのオペラは、歌手の所作のみに対するBGM的な部分がかなり多いのだが、父クライバー(1954)の颯爽たる早めのテンポだと、目の前にその所作が無く音楽のみだとつらいかな、と思われる場合があったが、クナの場合は音楽のみでもちゃんと成立している。逆に最終幕の三重唱は逆で、かねがねこの三重唱のクライマックスはブルックナーアダージョのクライマックスを彷彿させる、と思っていたのだが、まさにクナがそのように演奏すると、器楽曲としてのクライマックスとしては納得できるが、人声が前提のオペラだと、逆に音楽的にもたないという事を発見した。ここは父クライバーのやり方のほうが、聴き手に与える感動は深い。そんなこんなで、個人的にこの両者に優劣は付けづらく、その時の気分で選ぶことになるだろう。
ライブということもあり、歌手もオケも実に生き生きとしている。女性3人の主役は父クライバー盤と同じで当時のベスト・メンバー、特筆すべきは男爵のクルト・ベーメ、クリップス指揮の「ドン・ジョヴァンニ」で騎士長を演っているのしか手元になかったが、ブッフォに堕する寸前ぎりぎりの豊かな演技と歌唱で、私が聴いた中ではベストの男爵である。先日も紹介した、歴代のばらの騎士の歌姫の写真のページに彼の写真も見れる。下記の中ほど。
ttp://www.asahi-net.or.jp/~wg6m-mykw/Library_R_Strauss_Rosenkavalier_Diva_3.htm
左のオットー・エーデルマンもフルトヴェングラーとの共演も多い名バス、右のクンツは先日の「こうもり」で触れた。