R・シュトラウス 「ばらの騎士」

バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1971)
先日触れた(こちら)廉価で再発の輸入盤である。
布陣は
元帥夫人:クリスタ・ルートヴィヒ
男爵:ヴァルター・ベリー
オクタヴィアン:グィネス・ジョーンズ
ゾフィー:ルチア・ポップ 
歌手:プラシド・ドミンゴ

テンポが遅いということはあらかじめ知っていたがトータル約3時間34分。(通常は遅くても3時間20分を超えることはめったにない)
さて、この演奏について大体意見はふたつに分かれるようだ。
バーンスタインウィーン・フィルの良さを引き出している」
ウィーン・フィルは良いがバーンスタインの個性が感じられない」
へそまがりな私は、自分が若い頃現役だった人気指揮者には、カラヤンをはじめとして全くといっていいほど興味が無い。特にマーラーが得意なバーンスタインを聴くわけが無い(劇爆)なので、彼の個性がどんなものか、全くわからないのであるが、ゆっくりめのテンポは時として音楽が前に進まなくていらいらするし、躍動感に欠ける部分もある。美しいは美しいが、ふぬけてパンチ不足(ここら辺が個性がないといわれる点かもしれない)に聴こえかねない。
しかし、ゆっくりめのせいで、ああここはこういう「歌」になっているのだ、と改めてわかる部分もある。
「ばらの騎士」は台本のみならず音楽的にもモーツァルトを意識して書かれている。が、恥ずかしながら、どこらへんがモーツァルトなんだかよくわからなかった。しかし、このバーンスタインの演奏で聴くと、第1幕の男爵、元帥夫人、オクタヴィアンの三重唱が、「フィガロの結婚」の第2幕の伯爵、伯爵夫人、スザンナの三重唱を意識しているということがよくわかった。なるほど、ここか!と今更ながら気づいた次第(汗)
ルートヴィヒは悪くないのだが、オクタヴィアンと二人の場面がメゾ、メゾになるのはどうもしっくりこない。
ジョーンズも悪くないのだが、小間使いに扮しているときに、ああまでアホっぽく歌わいでも、と思う。
フルトヴェングラーの「ドン・ジョヴァンニ」のマゼット役が懐かしいベリーは、高音もよく出るバリトンに近い軽やかな美声のバスで、芸達者ぶりも含めてこういう男爵も悪くない。
歌手役のドミンゴは、やはり若干高音がきつそうだが、まだまだ若々しい声で充分及第点。
文句のつけようないのが(笑)若きルチア・ポップで、この人さえ聴ければわたしはいいのであった(爆)


ちなみにポップが晩年(といっても夭折なのだが)元帥夫人をやったらしい。
オフィシャルの録音はないが、どこかで出してないかなあ。

あとクライバー指揮で1974年盤やスカラ座を指揮した1976年盤もあるようだ。勿論ゾフィーはポップ、うーん、いつか手に入るかな。