ヴァント指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2001)
世間の評判とは裏腹に、私はどうもヴァントのブルックナーは、いいとは思うのけれどそれ以上の感情が湧いてこない。なので、えらく評判のいいベルリン・フィル盤(評判がいいどころではなく、ブル8鑑賞はここから始めよと言い切る人もいる)で、私のヴァントに対する姿勢を決めておこうと思った。
あの遅いクナよりも若干遅めと言うのもすごいが、本人はホールの残響の長さに引きづられたからで、納得はしていないとか。
しかし、さすがに一流オケだけあって「ブル8鑑賞はここから始めよ」といいたい人の気持ちは分かる。
あるサイトの「ブルックナー指揮者といえば」というアンケートで、3位以下を大きく引き離して、ヴァント1位、ヨッフム2位というもの、分からなくもない。
個人的感情を無視すれば、大変な名演であることを認めるにはやぶさかではない。
つまりは、後は個人的な好みの問題なのだ。
今までの、他の交響曲でもそうだったと思い当たったのが、音符の長さどおりに目いっぱい弾かせて欲しくないところで弾かせる。逆にめいっぱい弾かせて欲しいところはスタッカート気味になる。テンポを上げて欲しくないところを上げる。上げて欲しいところは上げない。テンポを落として欲しくないところでテンポを落とす。落として欲しいところで落とさない。クレッシェンド、デクレッシェンドも同様。
ことごとく、私個人の好みとづれて、とにかく癇に障るのである(笑)この人の演奏は。
だから、この人ではじめてブルックナーに接する人にはなんら問題はないわけなので、ヴァント・ファンの人がいたら許してください。
それでも、アダージョは歴代の中でもトップクラスの名演だということは書いておきたい。