シベリウス 交響曲第3番について

以前、シベ7、シベ6についてのこだわりを書いたことがあったが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/04/18
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/04/14
シベ3にもこだわりが出てきた。
牧歌的であり、農民舞踊曲的でもあるこの曲は、シベリウスがミニマル的手法を取り入れ始めた曲でもあるため、そこらへんを読み違えると見当違いの演奏になる。
第1楽章の後半部で、たいていの指揮者が前半との対比と考えてか大きくテンポを落とすが、農民舞踊曲の雰囲気が残っているために、テンポを落とし過ぎてはそれが台無しになる。
第2楽章はブルックナーの「ロマンティック」の第2楽章同様の「そぞろ歩き」なので、あまりにテンポを落としたり、弱々しかったり、テヌートを利かせ過ぎると楽想が生きない。
最終楽章後半は、ミニマル的な雰囲気から勇壮な主題が浮かび上がってくるが、スケールを大きくしようとしてか、やはりテンポを落とす指揮者が多いが、そのせいで、それまでの勢いが殺され、たんなる弛緩になってしまう。そして、そのあとアッチェレランドをかけるものだから、逆にスケールが小さいせわしない演奏になってしまう。ここは終始インテンポでいかないといけない。
なかなか上記の条件をかなえた演奏は無いのだが、ロジェストヴェンスキーが第2楽章が若干速すぎる以外は、かなり理想に近い。
アブラヴァネル盤は最後の最後で終楽章後半がテンポが落ちてしまったのが惜しいが、これもかなり理想に近い。
透明感抜群のヴァンスカ盤は、第1楽章後半がわずかにテンポが落ち、また第2楽章が弱々し過ぎるのが惜しいが、これも理想に近い。