A・E・ヴァン・ヴォクト「イシャーの武器店」

A・E・ヴァン・ヴォクト「イシャーの武器店」(1951)
以前も書いたが「武器製造業者」の続編だが、時系列的には前の時代を描く。そのせいか、日本ではこちらから発売されたようだが、時系列的には前でも、やはり執筆順に読むことを推奨する。なぜならこちらを先に読むと、「武器製造業者」の「主人公が何者なのか」のワクワク感が台無しになるからだ。
さて、かなり前に購入していたこの本を、なぜ読まなかったのかというと、導入部が、現代人(1951年当時)がいきなり7,000年後へ連れさられる、という、大昔のSFで、あまりにもありがちなプロットに二の足を踏んだためだったが、実際読んでみると「時間移動により時間エネルギーがその体に蓄積され、地球を滅ぼしかねない一触即発の危険人物となる登場人物」というのは画期的だ!しかし導入部なのにサブプロット(笑)
あいかわらず複雑なプロットであるが、だいぶ展開が落ち着いてきていて、ジェット・コースター・ノベルの雰囲気は影を潜めている。しかしその分年寄には読みやすくなった。
それでも、あの不器用なゴリ押しの目もくらむような展開も懐かしく思えてくる。