今更ながらの山岸凉子とケルト

山岸凉子「パニュキス」という作品が久々に読みたくなった。所有しているのは文春文庫版の「シュリンクス・パーン」に収録されているものだ。なので、表題作である「シュリンクス・パーン」も読み返した。
この作品は以前書いた

https://hakuasin.hatenablog.com/entry/20080301/p2

「アンをめぐる人々」の「ベティの教育」や樹村みのりの「40-0」の「男の夢爆裂」の系譜に連なる作品でこれも好きな作品なのだが、主人公の名前が「オシアン」だった。
名前とも名字ともわからない書き方をしてあるが、たぶん名前であろう。そうなると名字は不明となる。
しかしこの「オシアン」というのは普通登場人物の名前には付けない(であろう)なぜなら、これは特殊な名前で、18世紀のヨーロッパで爆発的なケルトブームを巻き起こしたマクファーソン翻訳(偽作説あり)のケルトの口承伝説「オシアン」の語り手の名前だからだ。
山岸凉子ケルトについては以前ちらっと触れたが

https://hakuasin.hatenablog.com/entry/2020/09/29/074454

「妖精王」は1977~1978年の作品で「シュリンクス・パーン」は1976年の作品だから、もう「妖精王」の前年からケルトに対する下地はあったということになる。