アシモフ

アシモフのファンの中でも、ファウンデーション再開以後(ファウンデーションシリーズとロボットシリーズの融合)は評価が分かれるらしい。曰く、再開以後はアシモフらしくない云々。それはそうであろう。最初のファウンデーションはなんと彼が22才(!)〜30才にかけて書かれたもので、(早熟の天才なのだ)再開時は62才である。これで前作と同じ作風なら、彼はなんの成長もしていない事になる。正直言って、もし彼がファウンデーションを再開しなかったら、私は彼の事を「センスのいいSF大家」として、それなりの評価はしたであろうが、けしてマイベストSFの2位には選ばなかったであろう。
再開後は、(最右翼の作家には劣るとはいえ)かなりSF的考察は深みを増している(そこが、らしくないと言われる所以だろうが)ガイアという概念も目新しいわけではないが、ロボット3原則を突き詰めていけば、当然こういう帰結になる事は、納得できる。「心にかけられたる者」(1974)という短編があるが、これはロボット3原則を突き詰めることで、逆に「人間とは何か」を考察するもので、ディック的考察の別方向からのアプローチといえる。そういうのを経て、ファウンデーション+ロボットシリーズの再開で、最終的に、大河小説の形をとった、アシモフ版「幼年期の終り」になっているのだから、私は、再開後のアシモフを支持するわけだ。